研究紀要第96号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -084/162page
状態を示す生徒の特徴を明確にとらえることができた。
これまで分析してきた結果を整理してみると、学校不適応に関する生徒の特徴について、次の6つの事柄でとらえることができる。それは、「友達との関係」「教師との関係」「学業・進路に関すること」「学校生活への意欲に関すること」「学校での役割に関すること」「心理的不安に関すること」である。その6つの事柄について、さらに、状態、意識、自己・集団イメージ、場面、理由、解決方法(求めているもの)、心理社会的価値の項目内容と関連づけて、学校不適応状態を示す割合の大きいA群を中心に結果を考察していくと、以下のようになる。
1.「友人との関係」について
ア 状態
いらいらして友達にあたることがある生徒が約30%、また、いじめられたり無視されたりすることで悩むことがある生徒が約30%いる。このことから、友達との関係をうまく築くことができないことで悩み、学校不適応状態に陥っている生徒が30%程度いることがわかる。
イ 意識、自己・集団イメージ
A群の生徒を見ると、友達の目やうわさが気になることがあると回答している生徒は、「多い」「時々」を合わせて、約80%いる。その中でも、「多い」と回答したA群の生徒は約31%で、C群の生徒の約7%に比較してたいへん多いということがわかる。
また、先生や友達に嫌われていると思うことがあるA群の生徒は、「多い」「時々」を合わせて約80%いる。中でも「多い」と回答したA群の生徒は、C群の生徒の約10倍見られた。
これらのことから、A群の生徒が不適応意識を持つ要因のひとつに、周囲の目を気にし、嫌われていると感じていることが挙げられる。
学級の仲間からどう見られているかをとても気にする傾向のある生徒の中には、仲間から良く思われようと無理して行動しているにもかかわらず交友関係をうまくつくれないために、不適応状態 になっていると思われる生徒がいる。そのため、C群と比較すると学級の生徒と一緒にいて楽しいという気持ちを持ちにくく、それが不適応意識を持つ要因となることが考えられる。それでも学級の友達から良く思われようとして、時々自分を抑え、無理しながら学校生活を送っていることが、調査結果から読み取れる。
2-9「クラスの人と一緒にいて楽しいと思うことがありますか」
ウ 心理社会的価値
A群の生徒は、友達との交流に対して、あまり価値を見いだしていないことがわかる。しかも、C群に比較して、その差が大きく見られる。このことから、学校生活に適応している生徒ほど友人との交流に価値を見いだしていると考えられる。
工 場面、理由
A群の生徒の75%は、友達からかげ口を言われていると感じているとき、学校に行きたくないと思うと回答している。C群の生徒の61%もそのように感じているという結果から、中学生にとって友人関係がうまくいかないことは、学校不適応を引き起こす大きな要因となることがわかる。
オ 解決方法(求めているもの)
友達からかげ口を言われていると感じるとき、A,B,C群の生徒は、いずれも約90%が自分で解決したいと考えている。また、各群の生徒の約80%が友達の援助を求めている。教師の援助については、A群の生徒ほど多く求めているという結果が得られた。このことから、不適応状態を示す割合の大きい生徒ほど教師の援助を求めているこ