研究紀要第96号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -085/162page

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とがわかる。

2.「教師との関係」について

ア 状態

 先生から注意されることが多いと感じているA群の生徒はC群を大きく上回り、約90%である。つまり、A群の生徒のほとんどが先生に注意されることがあると感じて生活していることになる。

イ 意識、自己・集団イメージ

 先生や友達から嫌われていると感じることがあるA群の生徒は約77%おり、C群の約38%に比較してたいへん多い結果となった。このことから、A群の生徒の多くは、C群の生徒に比べて教師から注意されることが多く、そのために、教師から嫌われていると感じる場合があると考えられる。

ウ 場面、理由

 A群の生徒の約45%は、先生との関係がうまくいかないとき、学校に行きたくないと思うと回答している。このことから、A群の生徒にとって教師との関係がうまくいかないことは、生徒の学校不適応の状態を生み出す大きな要因になる可能性があると考えられる。

工 解決方法(求めているもの)

 A群の生徒の約70%は、先生との関係がうまくいかないとき自分で解決したいと回答している。各群とも、友達の援助を求める生徒は約55%、教師の援助を求める生徒は約35%となっており、A,B,C群にほとんど差が見られない。

3.「学業・進路に関すること」について

ア 意識

 A群の生徒の約80%は、授業中は楽しいと回答している。逆に、楽しくないと回答しているA群の生徒は約20%おり、B,C群に比べて多くなっている。受験や進路の問題は、中学生にとって気がかりなことであり、特にA群の生徒にとっては学校生活の中で大きな不適応意識を持つ要因になる可能性があると考えられる。

イ 場面、理由

 授業が理解できないとき、希望通りの進路に進めそうにないと思うとき、受験のために勉強しろといわれるとき、学校に行きたくないと思うA群の生徒は、C群の生徒の2倍以上いる。このことから、学業・進路に関して不安を強く持っ傾向があるA群の生徒が多いことがわかる。以上のことから、学業・進路に関する問題は、生徒の不適応意識を増大させる大きな要因となる可能性があると考えられる。

ウ 解決方法(求めているもの)

 各群の生徒とも、友達の援助より、教師の援助を求めているという結果が出た。A,B,C群の差がなく、80%近くの生徒が教師の援助を求めている回答は、他の場面にないものである。ここから、生徒は、学業・進路に対する教師の指導援助を求めていると考えられる。

4.「学校生活への意欲に関すること」について

ア 状態

 何をするのもめんどうだと思い、ぼんやりしていることがある生徒は、「多い」「時々」を合わせて約78%おり、不適応状態を示す他の質問に対する回答と比較して、突出して高い結果となっている。このことから、学習活動や部活動など学校生活全般に対しての意欲を十分に満たすことのできない生徒が多くいるものと思われる。

イ 意識、自己・集団イメージ

 学校生活への意欲があまり持てない理由のひとつとして、A群の生徒の約20%が、授業が楽しくないと回答していることが挙げられる。また、A群の生徒の約60%は、自分の思うように行動できないと回答していることから、自分の欲求が十分に満たされず、不満や悩みが蓄積されやすく、学校に不適応意識を持つことが多いということがわかる。

ウ 場面、理由

 A群の生徒の約38%は、やりたいことが見つからないとき、学校に行きたくないと思うと回答していることから、学校生活での目的を求めていることがわかる。目的を求めているのに、思うように目的を見つけることができないことは、学校生活への意欲を失わせ、不適応意識を持たせる大きな要因となる可能性がある。


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