研究紀要第96号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -086/162page
工 解決方法(求めるているもの)
A群の生徒の約27%は、教師の援助を求めている。また、62%が友達の援助を求めている。この結果は、B,C群より高くなっている。
このことから、A群の生徒ほど、学校生活でやりたいことを見つけられないために、意欲があまり見られず、その援助を教師や友達に求めていることがわかる。
5.「学校での役割に関すること」について
ア 意識
この「役割」がどういう役割であるかは明確でないが、A群の生徒は、「学校のことを考えると気持ちが沈んだり、夜なかなか眠れなかったりする」という意識を強く持っている。A群の生徒にとって、「学校での役割」は、学校生活の中で、気がかりなことのひとつになっていると考えられる。
イ 心理社会的価値
A群の生徒は、学校内で責任ある役割をすることなどの校内活動に対して、あまり価値を見いだしていないことがわかる。この結果は、C群に比較してその差が特に大きく見られた。
このことから、学校生活に適応している生徒は学校での活動に価値を見いだしていると考えられる。
ウ 場面、理由
A群の生徒の約60%は、「学校で負担に感じる役割があるとき」学校に行きたくないと回答している。
これは、やりたいことがあってもうまくいかないことがあり、それを周囲の人がどのように見ているかをとても気にするA群の生徒の特徴と考えられる。
工 解決方法(求めるているもの)
A群の生徒が、先生や友達の援助を求める割合は、他の質問内容に比べて高くなっている。このことは、学校で負担に感じる役割があるとき、教師や友達に依存する傾向が強いことを表していると考えられる。
6.「心理的不安に関すること」について
ア 状態
学校がいやで休むことがあると回答した生徒は6.8%と少ない。つまり、学校を休むという具体的な行動で不適応状態を示す生徒は少ないということである。しかし、登校時間になると気分が悪くなったり、おなかが痛くなったり、あるいは、遅刻や早退をする生徒が約20%おり、休むまでは至らないものの、そのような行動で不適応状態を表しているものと考えられる。
3-2「登校時間になると、気分が悪かったりおなかが痛かったりしますか」
イ 意識
A群の生徒の中で、学校がいやで休みたいと思っている生徒は、C群に比べてとても多く見られる。このことから、学校を休みたいと思いながらも、無理して登校している多くのA群の生徒がいることがわかる。さらに、学校のことを考えると気持ちが沈む傾向がA群の生徒に強く見られ、不適応意識を持って悩んでいるA群の生徒の気持ちがうかがえる。また、学校のことを考えると夜なかなか眠れないと回答しているA群の生徒が、約30%おり、学校のことで気がかりなことを抱えて悩んでいることがとらえられる。
2-10「学校がいやで休みたいと思うことがありますか」(A群)