平成6年度 研究紀要 Vol.24 個人研究 -133/156page

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 次に,授業者と協力校の教師に次のような視点で評価を依頼したところ,下記のような内容であった。

学習の定着のために有効な
      ソフトウェアであったか

・ 答えを入力する際,仮分数は帯分数に,分母・分子が同じ大きさの時は「1」にして入力しないと正答とならないため,暖昧にしていたような児童にも定着を図ることができた。

・ 授業中,ヒント画面を見せながら説明することで,繰り上がりの感覚が身に付いてきている。

・ 楽しく学習するという点で,定着のための一手段としてはよいと思うが,個に応じたプログラムをこなすよりも,児童相互の意見の交換がある方が,学習の定着には有効なのではないかと感じた。

・ 事後テスト等からも分かるように,児童は仮分数を帯分数に直して計算することにとても抵抗がある。この点に関しては,コンピュータに任せきりにならずに,教師を交えた個別指導が大切であることを痛感した。

意欲的な学習を援助する
     ソフトウェアであったか

・ コンピュータを活用するということで,ほとんどの児童が興味を持って授業に参加していた。コンピュータの操作にも自信を持って取り組んでいた。

・ 今回は,複数の人数で活用したが,一人一台のコンピュータとソフトウェアを使って,下位児や分数の復習などをする時には,大変有効だと思う。

・ 児童が暖昧にしていた部分を明確にできたという点で有効だったように思う。コース別に学習ができたので,上位児も下位児も自分たちのぺ一スで学習を進めることができてよかった。

IV 研究のまとめと課題

1 研究のまとめ

(1) 開発したドリル型教育用ソフトウェアの有効性について

 この研究で開発したソフトウェアを活用した試行授業をした教師や授業を参観した教師から,次のような感想があった。

・ いたるところに児童の誤入力に対する対策が講じられるなどの配慮が見られる。

・ 問題の難易度ごとにコースが設けられていて,児童の個人差に応じた学習が展開できるようになっている。

・ 画面が市販のソフトウェアと同じくらいに大変にきれいで,児童の学習意欲を喚起するものになっている。

・ マウスを使った入力操作は,児童にとっては,大変操作しやすいものである。

 これらの感想や前頁の事前・事後テストの結果などから考察すると,この研究で開発した教育用ソフトウェアは,児童それぞれが自分の習熟度別に活用したり,自分の理解が不十分な内容の補充として活用したりするなど,能動的に取り扱うことを通して,主体的に学習に取り組み,分数の単元において学習した内容の定着を図るという点では,とても効果的であったと考える。

 また,操作の点でも,児童のコンピュータリテラシーを考慮し,マウスだけの操作で行えるようにしたことや,正誤の表示の方法やKR情報等を工夫したことにより,児童が何よりも意欲的に楽しく学習に取り組むことができ,ドリル学習を有効なものとすることができたと思われる。

(2) 開発したドリル型教育用ソフトウェアの改善点について

 (1)で感想を述べた教師からは,成果とともに次のような改善点も指摘された。

・ 正解及び誤答の際の効果音がほしい。

・ マウスによる入力とテンキーによる入力も併用できるようにしてほしい。

・ 答えが整数の場合には,
整数の入力→[と]→[けってい]→[けってい]ではなく,
整数の入力→[けってい]のほうが自然である。

・ 帯分数+帯分数で,答えが仮分数になるパターンとそのまま答えになるパターンを選択できる


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