平成6年度 研究紀要 Vol.24 各テーマの要旨-155/156page
(研究紀要第97号 分類基準J1-01)
テーマ 福島県における「学カ向上」に関する考察
−センター試験結果分析と福島県の中学生の学習に対する意識と行動−
要 旨
本研究は、福島県の「学力向上」について、センター試験結果分析などから高校生の学力の一端を探り、また中学生の学習に対する意識と行動を「学習一般」「国語」「数学」「英語」の4っの観点から調査することによって、現状と課題をより明確にしていこうとするものである。
「福島県の高校生のセンター試験に表れた学力の現状」では、「進路実現を可能とする学力」における問題点を明らかにし、「福島県の中学生の学習に対する意識と行動」では中学生の家庭における学習時間、通塾率、予習復習の状況、進路への意識などを分析した「国語」「数学」「英語」については、教科に対するイメージや意識をさぐり、学習行動としては、具体的な問題を提示し、実際の学習場面を想起させながら、「解決の仕方」「調べ方」「発展的学習意欲」などを調査した。
(研究紀要第98号 分類基準K1-09)
テーマ 環境教育講座の在り方を求めて
要 旨
本研究は、福島県の環境教育の充実・発展に寄与できる「環境教育講座の在り方」を求めて取り組んだものである。
いろいろな教科等の担当者が共通理解を図りながら、環境教育の理念の理解ができ、学校の教育活動全体を通しての実践の方法が分かり、野外や室内での具体的な実践の技能が習得できる内容の講座とし、その成果を確認した。
講座の目的の1っである教材提供の視点から、家庭科と理科が連携して教材を開発し、小・中・高の各校種の学校で試行授業を実践し、教科間の連携の方向性を探った。
(研究紀要第99号 分類基準F9-01)
テーマ 学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究
−第2年次−
要 旨
本研究は、学校不適応に対する適切な援助の在り方について三つの具体的な指導援助の試案を作成し、実践研究したものである。
(1) 試案−1 (教師と生徒との人間関係を深める指導援助)
(2) 試案−2 (生徒同士の人間関係を深める指導援助)
(3) 試案−3 (社会生活技能を高める指導援助)実践を通し学校不適応意識や状態への有効性、集団への適応力の変容などを検証し、今後の効果的な援助の在り方を追究したものである。
(研究紀要第100号 分類基準K3-03)
テーマ 国際理解教育におけるソシオドラマの活用
要 旨
福島県の公立学校における国際化は、近年、外国人登録者数の急激な増加と公立小中学校での外国籍児童生徒数の増加、中国帰国子女・海外勤務経験者帰国子女などによって急速に進んでいる。その一方、学校や教師のとまどいも大きく、対応に苦慮することも少なくない。
このような課題に応えるため、平成6年度に新設した「国際理解教育講座」において、「ソシオドラマ」を演習に活用することによって、問題の本質や心理的事実に対する感受性と洞察力を養い、異なった文化や価値観に対する理解が深めようと考えた。
(分類基準B1-04)
テーマ 表現カを高めるための多様な学習メディアを活用した学習指導の在り方
要 旨
本研究は、表現力を育てるために、児童一人一人を生かす視点から、学習メディアを活用したどのような指導方法が効果があるかを、文献研究や検証授業を通して明らかにすることをねらい、社会科を事例として2カ年にわたって取り組んだものである。
表現力を構成する要素を分析し、それを基に、それぞれの要素を高める単元段階での具体的な指導方法を、(1)個の情意面における、学習メディアを中心とした表現活動の特性を生かす指導、(2)直接体験を取り入れた指導、(3)自己評価・相互評価を組み合わせた評価活動の3点から、総合的に追究した。
(分類基準F3-01)
テーマ 算数科における学習内容の定着を図るための教育用ソフトウェア開発
〜第4学年「分数のたし算とひき算」の定着のために〜
要 旨
本研究は、算数科における学習の個別化を図るために教育用ソフトウェアの開発を行い、開発した教育用ソフトウェアを通して、コンピュータの学習指導への有効な活用を探ろうとしたものである。
内容は、ロゴ言語によるドリル型の教育用ソフトウユアの開発を中心に、個人差に対応させるための構成と作成までの手順、さらに授業実践により開発したソフトウェアの評価等をまとめたものである。
(分類基準F9-02)
テーマ 生徒の二次欲求を生かし、よりよい方向へ充足させる教育相談的な指導の在り方
−教育相談的指導に立った国語科学習の一実践−
要 旨
本研究は、教育相談的な指導を行ったときに、生徒の内面にどのような変化が表れ、どれほどの生活の充実を生み、自己の発揮がなされていくかその成果を求めながら、実践するところにある。
本年度の研究では、国語科学習に教育相談的な考え方を組み入れ、子供の発したものを受け入れながら、望ましい人間関係をつくっていく中で、自己表出を一層促進するなど、生徒一人一人の二次欲求を充足させ、授業の活性化を図っていくための指導の在り方を追究しようとした。
(分類基準G4-04)
テーマ 高等学校物理IBにおける「探究活動」の指導と評価についての研究
要 旨
本研究は、「物理IB」における「探究活動」について、これをどのようにとらえ、どのように進め、どのように評価していけば、その目的が達成されるかを明らかにすることをねらいとして、「探究活動」の具体的な展開の方法、評価の方法を例示し、それらの効果を二っの事例について授業実践を通して確かめたものである。
(分類基準G5-09)
テーマ 主体的な眼を育てる美術の鑑賞指導
〜ワークシートの開発と実践報告〜
要 旨
主体的な鑑賞の態度や能力を育てる指導の在り方を求めて、「生徒一人一人の「作品などを見る主体的な視点」を引き出し、それを生かしながら、作品の見方を拡げ深める造形活動を促すとともに、その楽しさを味わわせるような指導」を、次の手だてによって工夫し、実践した。
1) 作品を味わうためのアプローチの体験モデルとしての教材
2) 生徒相互に作品の見方などを学び合う場を位置づけた指導過程その結果、このような手だての有効性とともに、実践上の留意点や教師による支援の在り方などを明らかにすることができた。
(分類基準F9-01)
テーマ 思春期の自我の成長を促す指導援助
要 旨
本研究は、思春期にある生徒への教育相談において、思春期の発達課題である「自我同一性の確立」の観点から人格的な理解を深め、自我の成長を促す指導援助の在り方を明らかにするために取り組んだものである。
特に高校生を対象にし、自我の成長・発達の視点から内面理解を深めるよう心がけ、「自我同一性」の評定尺度として「REIS高校生用短縮版」を活用し実践研究を進め、受容的かかわりと肯定的な対人交流の体験が自我の成長に重要であることを指導援助を通して追究した。