研究紀要第100号 「国際理解教育におけるソシオドラマの活用」 -080/156page
2 福島県における国際化の現状と教師の意識,そして「国際理解教育講座」
ソシオドラマの実際について述べる前に,前提となる福島県の国際化の問題と県内公立学校の教師の意識調査,そして新設された「国際理解教育講座」について述べたい。
前置きがいささか長くなってしまうが,この3点が,国際理解教育においてソシオドラマを活用する前提条件であるからである。
(1) 福島県の国際化の現状 4)
1) 外国人登録者数の増加
福島県における国際化の進展を示す指標の一つに,外国人登録者数の推移がある。平成元年4082人から平成5年には7430人と82.0%の伸び率になっている。これを全国と比較すると,全国では98万人から132万人への増加,伸び率34.2%であり福島県の外国人登録者が急激に増加していることが分かる。
表1 外国人登録者数
(平成6年5月現在 教育庁義務教育課調べ)
区分 タイ 大韓民国 台湾 中国 朝鮮民主主義人民共和国 フィリピン ヴェトナム ロシア チュニジア ポーランド オーストラリア カナダ 米国 ドミニカ ブラジル ペルー メキシコ アルゼンチン 計 H 3 小 1 56 3 59 57 1 4 1 1 4 21 1 209 中 1 40 24 26 8 99 計 2 96 3 83 83 1 4 1 1 4 29 1 308 H 4 小 52 54 51 6 2 4 31 3 1 1 205 中 2 25 27 33 1 6 94 計 2 77 81 84 6 2 1 4 37 3 1 1 299 H 5 小 40 1 56 48 7 2 1 9 2 27 7 1 201 中 3 27 34 32 1 1 8 4 110 計 3 67 1 90 80 8 2 1 1 9 2 35 11 1 311 H 6 小 59 3 60 25 9 2 5 1 1 2 1 12 12 12 204 中 2 34 45 7 2 1 2 2 6 3 104 計 2 93 3 105 32 11 2 6 1 1 2 3 14 18 15 308 その内訳は,アジア系が5495人と全体の74.0%を占め,更にアジア系の中でも韓国・北朝鮮系を除く人々がフィリピン,中国を中心に60.5%を占めている。以前は韓国・北朝鮮系の人々が大半を占めていたことを考えると大きな変化である。また,平成2年の入国管理法の改正以来,ブラジル,ペルーなど中南米からの日系2世3世とその家族が増加している。
2) 外国籍児童生徒数の推移
それに伴い,県内公立小・中学校における外国籍児童生徒数も増加する傾向にあり,平成3年以降は表1のように約300人の児童生徒が在籍している。
平成6年度に関して言えば,小学校204人,中学校104人の,計308人となっている。また韓国・北朝鮮籍の児童生徒の実数・比率の減少と,ブラジル,ペルーなどからの児童生徒の実数・比率の増加がここでも見られる。
一方,留学生に関して言えば,現在,県内の大学,専修学校を中心に224名が在籍するが,その95%はアジア系である。中国,台湾,マレーシアが飛び抜けて多く,これらの三ケ国で70%をこえる。高等学校での留学生も,公立私立を合わせて7名を数えている。
3) 中国帰国子女・海外勤務経験者帰国子女数の推移
外国籍児童生徒とともに帰国子女の増加も,学校の国際化に拍車をかけている。表2に見るように,平成元年,中国帰国子女・海外勤務経験者帰国子女