研究紀要第100号 「国際理解教育におけるソシオドラマの活用」 -082/156page

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 これらのことを総合的に評価すると,醒めた眼差しで国際化の進展を見守りながら,現実に国際化された教室で戸惑いを感じながら指導に当たる教師の姿や,不安感から,できれば避けて通りたいと感じている教師の意識の一端を,垣間見ることができるように思われる。

(3) 国際理解教育講座

 福島県の国際化の現状,国際化に関する教師の意識調査を踏まえて,当センターの平成6年度国際理解教育講座を次のように設定した。

1) 日時 平成6年10月5日(水)〜7日(金)

2) 受講生の構成
      小学校教師  15名
      中学校教師  12名
      高等学校教師 9名
      盲聾養護学校 1名  計37名
      (2名欠席のため35名)
注) 教科指定は特に行わない。校種別に定員は定めるが,希望参加を原則とする。

3) 講座日程
  午   前 午   後
第1日   開校式「国際理解教育の目指すもの」講義・演習(外部講師)
第2日 「ソシオドラマによる国際理解教育」講義・演習 午前の続き 国際交流体験発表(小中高)
第3日 研究協議 「地域の国際化講義(外講)閉講式  

 国際理解教育には,三っの柱があると言われる。国際交流,異文化理解,言語教育の三っである 7)

 この講座では,そのうち言語教育については,別に「オーラルコミュニケーション講座」があることと,「いつでも,だれでも,どこでも」という国際理解教育の理念(教育相談のスロ一ガンに由来すると思われるが)から,除外してある。

 第一日目の講義・演習「国際理解教育の目指すもの」は,外部講師による講義と演習で国際的な視野に立って国際理解教育の在り方について理解を進めるものである。

 第二日目の「ソシオドラマによる国際理解教育」は,ソシオドラマの演習を通して,学校の国際化に伴うさまざまな問題に対する対応力を養おうとするものである。

 また,午後の後半は,現在国際交流を行っている県内の小・中・高等学校の実践発表であり,国際交流の実際について学ぶ。

 第三日目の研究協議は,各教科単位での国際理解教育の実践例の紹介,国際ボランティア活動に従事しての体験発表など,受講生が持参した資料に基づいて,自主的に発表したり,意見の交換をする場である。

 最後の講義「地域の国際化」では,現在,福島県の国際化施策の第一線で業務に当たる外部講師による福島県の国際化についてである。

 以上のような福島県の国際化の現状と教師の意識そして国際理解教育講座の内容構成のもとに,ソシオドラマを活用して国際理解を図る演習の場を設定した。

3 ソシオドラマによる国際理解教育

(1) ソシオドラマの演習案

 ソシオドラマの例は,必ずしも多くはない。ソシオドラマが具体的にどのようなものか,増野が埼玉県に依頼されて行った「ボケを考えるソシオドラマ」 2)


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