研究紀要第100号 「国際理解教育におけるソシオドラマの活用」 -086/156page
4) 「5 ノンヴァーバル・コミュニケーション」
ここに,ジェスチュアゲームの一種である「ノンヴァーバル・コミュニケーション」を挿入したのは,この時点では,まだソシオドラマに必要な表現意欲は十分に開発され得ないだろうと想定したからである。もう少し少人数で,しかも経験のあるメンバーであれば必要ないと思われるが,より自己開示しやすくするために,6人ずつのグループに分け,一人が課題を表現し,二人が相談役となり,残る3人がジェスチュアからメッセージを当てるという設定で行った。
参加者にとって,すでに経験があることと,小人数グループでやるために比較的照れないでできるため,大いに盛り上がった。
5) 「6 今日から日本の学校で」
ソシオドラマの最初に,「今日から日本の学校で」と題して,外国からの転入生が初めてクラスに来るシーンを実施した。これは,担任がしばしば経験する場面であり,転入生にとっても何気ない通過儀礼でありながら,その後の人間関係に大きく影響する可能性のある大切な場面である。
キャスト 監督 … 赤塚 主役 (主役から後の席の児童まで)
原則として希望者担任 チャイム 隣の席の児童 前の席の児童 後の席の児童 クラスメイト(観客) … 残り全員 監督を赤塚が行うこと,単純化するため「ダブル」を設定しないことなどを説明し,キャストの希望者を募った。
主役には,若い女性教師が名乗り出て,「マリコ。ブラジルから来た小学校5年生」とする。担任役は,ドバイの日本人学校に勤務した経験があるという中年の女性。チャイムには,自己紹介のときに「今度,「素人のど自慢」に出場する」とアピールした若い高校教師を,「鐘がたくさん鳴るように」と監督が指名した。前後両隣の席の児童は,担任がマリコの坐る席を決定することで決まった。