研究紀要第100号 「国際理解教育におけるソシオドラマの活用」 -089/156page
監督 「マリコさん,たくさんの人と,握手できましたね。お友達,たくさんできたかな」 マリコ 「(うなづきながら)はい」 監督 「先生は,どうですか。少し,安心できましたか」 担任 「(本当に安堵の色を浮かべて)はい」 監督 「子供たちはどうでしょうか。きみは,どうですか」 児童6 「大丈夫です。仲良くできます」 監督 「はい。… きっと,大丈夫ですね。こうしてマリコさんは,みんなの一員になりました。これから,きっと,楽しいことも 辛いこともあることでしょう。でも,マリコさんは,きっと強く生きていくことができるでしょう。なぜなら,ここにいるみん なが,一人一人がマリコさんの味方で,マリコさんを見守っているからです。きっとすばらしい学校生活が,待っていることでしょう」 監督は,全ての役割を解除するとともに,ソシオドラマの一幕が終了したことと休憩を告げた。
6) 「7 日本の学校に体験入学」
二っ目のソシオドラマは,「日本の学校に体験留学」である。
このソシオドラマのねらいは,日本の学校生活や学校文化を外側から眺めてみようというものである。
まず,留学生を5人選ぶ。志願者はすぐ集まり,それぞれイギリス,フランス,ネパール,スペイン,中国からの留学生となる。彼らが,日本の中学校に留学して,日本の中学校生活について考えるという趣旨である。
担任の教師役には,若い中学校男子教師が志願した。
ドラマの場面については,「転入学手続き」「集団登校」「授業」「一斉着替え」「給食」「一斉清掃(無言清掃)」「日曜日の部活動」 「修学旅行」などから選択させた。希望が多かったのは,「給食」と「一斉清掃(無言清掃)」で,12票と13票の一票差であった。最も票数が多かったことと担任役の教師も希望したため,「一斉清掃」の場面で実施することにした。
監督 「あなたは,この「一斉清掃」を希望しましたけど,それはなぜですか」 担任役 「うちの学校もこれでやってんですけど,本当にききめがあんのかよく分かんなくて・・・黙ってやっても,話しながらやってもきれいになるなら同じなんだけど,最初慣れるまでは,黙ってやらせろということで一応納得はしてんだけど,なんちゅうか… 」 監督 「ははあ,疑問も感じるということですね。」 担任役 「はい」 監督 「それでは,ともかく,やってみましょう。