研究紀要第97号 「福島県における「学力向上」に関する考察」 -009/156page
(5) 家庭学習でカを入れている教科
家庭で,英語,数学,杜会,理科などに力を入れていることが分かる。国語は,これらに比べて家庭ではあまり力が入れられていない。
(6) よく分からないとき,どうするか
(先生に質問・友達と話し合う・図書館,参考書で調べる)
「自宅で重点的に勉強する」という答えが,最も多い。「先生に質問する」という生徒が少ないのはなぜだろうか。2年生の消極性などが目立つ。
(7) もっと知りたいとき,どうするか
(先生に質問・友達と話し合う・図書館,参考書で調べる)
学習に対する,より主体的でより積極的な態度があるかどうか,という問いかけである。「友達と話し合う」という答えが最も多いのは,日常の観察からうなづけるように思えるが,「図書館や参考書で調べる生徒」よりも,「先生に質問する」生徒の方がやや多い。また,ここでも2年生は消極的である。
これらの調査内容からまず第一に感じられることは,本県の中学生の学習に対する自主性の乏しさである。それは,学習時間の少なさや予習・復習の実施率などに端的に表れている。
また,調査した時期が7月ということもあり,1年生の回答から,新しい環境での初々しさや意気込みが感じられるのに対して,2年生の回答からは,むしろ消極的で,意欲の乏しさを感じさせられた。3年生は,「やらなければならない」という気持ちはあるものの,行動化できないでいるようにも見受けられた。
それらには,当然明確な原因があるはずである。今回の調査では,直接そこまで踏み込んではいないが,今後,究明しなければならないことのように考えられる。
註 1) 財団法人「日本学校保健会」(東京都港区)が平成4年に実施した健康調査。
2) 「児童生徒の健康状態サーベイランス」平成5年.によれば,中学生の平均睡眠時間は,7時間40分であり,中学生の就寝時刻は・男子23:01分・女子23:19分となっている。また,起床時刻は,男女とも6:50分であり,女子の睡眠時間が男子より若干短い。
3) 平成6年7月。文部省生涯学習局生涯学習振興課 「学習塾等に関する実態調査」