研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -035/156page
一杯になった容器を提示され,こんなに紙を使う必要があったのか,資源の有効利用を考えたら古い電話帳やぼろ布も利用できるのではないかなどの問いかけがあり,環境に対する様々な視点からの配慮の仕方を認識できた。
家庭科と理科教師のティーム・ティーチングによる学習については,児童は自然に受け止めていた。調理実習では,理科の教師は安全面に留意しつつ児童の様子を観察し,助言や賞賛の言葉かけをすることで,個に応じた支援ができた。
イ 中学校では
エコ・クッキングとしては,残菜を利用した「ポタージュ」を実習した。「卵焼きと野菜添え」の残菜としてキャベッの外葉としん,きゅうりのへたなどが出てきたが,それらをすべて活用したため,生ごみの量は各班とも極端に少なかった。普段は無意識に捨ててしまう部分も今回使用したことで,生ごみは工夫次第で減らせることを体得できた。
排水の汚れ度調査では,中学校は排水の採取を5つの方法で行った(学習過程P13参照)。その結果排水の汚れ具合いが十分比較できる排水が採取できた。ペットボトルを用いた透明度測定では,濁り度ばかりでなく洗剤の泡立ち状態も観察でき,見やすく効果的であった。また,CODの値は,濁り具合いと洗剤濃度に比例して大きくなったことから,生徒は,汚れを拭き取る効果と洗剤の排水の汚れ度に与える影響をとらえることができた。さらに,排水に入れたヒメダカの観察では,小学校同様,生徒に強い印象を与え,食い入るようにヒメダカの動きを見つめていた。そして,尾びれの動きの変化から弱る前に引き上げようとする姿が見られた。
実験後は,ほとんどの班が汚れを古新聞紙で拭き取ってから水洗いをしていた。一っの班は油汚れが残るということで,洗剤を標準使用濃度より薄めて使っており,食器の汚れ具合いに応じて洗い方を工夫している様子が見られた。また,班ごとに持参した古いストッキングや水切り袋などで三角コーナーや排水口を覆い,細かいごみが流れ出るのを防ぐなど,水をできるだげ汚さない工夫もしていた。
ウ 高等学校では
エコ・クッキングは,中学校同様,残菜を利用した「ポタージュ」を実習した。前回実施した中学校では青臭かったというような感想も出たので,今回は,「チキンピラフと野菜添え」の材料から出たキャベッやにんじん,玉ねぎなどの残菜の他に,缶詰のコーンを加えた。実習では,できるだけ生ごみを減らそうとにんじんの皮をむかずに使用するなど,意識して取り組んでいる様子がうかがえた。
排水の汚れ度調査では,COD及び透明度は中学校と同じ方法で実施した。生徒は,肉眼で観察した汚れ度が,測定値と同じ傾向にあることに気付くとともに,排水が水質環境基準値をはるかに上回っていることも認識できた。
実験後は,結果を基に,この排水を水質環境基準値までにするには何倍に薄めなければならないかという,水質浄化のシミュレーションを行った。さらに,発展として,学校周辺地域で同じ様な排水を流した場合,浄化のためにどれだけの水が必要か計算