研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -036/156page
をした。これらの数値から,水質への排水の影響をより具体的にとらえることができた。
高等学校は,男女共通履修による初めての調理実習であり,昼休みをはさんだ家庭科室での3時間通しの授業ではあったが,実習や実験に生徒が生き生きと取り組んでいる様子がうかがえた。
2) 事前・事後調査から
児童・生徒の変容を調べるために,次のような調査を行った。
ア あなたは,環境問題に関心がありますか
環境問題への関心については,特に中学校で意識の高揚がみられた。
小学校は事前・事後共に環境への関心が高い。これは家庭科において,前題材「衣服の手入れ」の洗濯実習で,洗濯の排水問題を学習していたので,関心が高まっていたためと思われる。
イ 台所から出るごみや生活排水が環境にあたえる影響について知っていますか
台所から出るごみや生活排水が環境に与える影響については,小・中・高等学校共に,事後は90%以上が「知っている」「少しは知っている」と答えており,理解が深まった。
ウ 台所から出るごみや生活排水について,環境を悪くしないように考え今後実践したいこと 自由記述,複数回答
(調査人数:小学校17人,中学校36人,高等学校41人)
実 践 内 容 小学校 中学校 高等学校 事前 事後 事前 事後 事前 事後 三角コーナーや排水口に水切り袋等を設置する 2 5 8 10 5 6 洗剤の使用量を少なくする 5 7 7 15 5 9 油を流しにそのまま捨てない 2 1 4 2 1 6 燃えるごみと燃えないごみの分別 0 0 0 0 2 2 再利用(空缶,新聞紙,生ごみ等) 7 6 5 5 7 2 ごみを減らす工夫(残菜の利用他) 1 3 9 9 9 7 食器の汚れを拭き取ってから洗う 0 4 1 2 1 3 その他(石けん利用,ごみ拾い等) 0 0 2 1 3 0 特 に な し 1 0 5 1 8 6 環境を考えて実践したいことで,小・中・高等学校共に,事後に増えたものは,「洗剤の使用量を少なくする」「三角コーナーや排水口に水切り袋等を設置する」「食器の汚れを拭き取ってから洗う」であった。特に,洗剤の使用にかかわる内容は各校種共,最も多い。これらは,いずれも授業で環境保全のための方法として確認した内容である。排水の汚れ度を調べる実験や水質浄化のシミュレーションなどの体験が,児童・生徒の問題意識を高め,日常生活でも実践していこうとする意欲を高めたものと思われる。また,記述内容も各校種共,事後は事前に比べてより具体的になっている。例えぱ,事前はごみをできるだけ出さない,流さないなど漠然とした内容が多かったが,事後は生ごみの取り扱いへの関心が高まり,材料を無駄なく使うことや,排水口に古ストッキングをかけ,細かいごみが流れ出るのを防ぐなど,その方法まで書かれている。このことからも意識の高まりが感じられる。
さらに,事後に「特になし」と答えた児童・生徒