研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -038/156page
これから,ごみを減らすことや水を汚さないことを考えた生活ができますか
ごみを減らすことや水を汚さないことを考えての生活への意識は,小・中・高等学校共に「思う」「少しは思う」とほぼ全員が答えており,意識の高揚が図れた。
また,今後の生活上での実践では「できる」「少しはできる」とほぼ全員が答えているが,「できる」と明言した者は小学校が18%,中学校が22%,高等学校が34%と,年齢が低いほど意識の高揚との隔たりが大きい。これらは生活経験の差と思われるが,実践力を育成するには,意欲の高揚はもちろんであるが,さらに実践的・体験的活動ができる環境の整備や指導法の工夫が必要と思われる。
4) 生徒の感想から
家庭科と理科で授業を行ったことについては,小・中・高等学校共に多かったのは,「一緒に学習したことで,身近にある環境問題がどのようになっているかよく分かった。調理実習だけでなく,実験もでき,生活排水の汚れ具合いや生物に対する影響などを自分の目で確かめられたので,とてもよかった。など,おおむね好意的にとらえたものが多かった。
小学校では
家庭科と理科では,ぜんぜん内容が違う授業になってしまうと思っていたけど,家庭科を通じて理科の環境問題にふれられたところが,すごいと思った。
自分たちの生活をもう一度振り返ることができた。洗ざいの量を減らして洗い物をすることやごみを減らして調理することなど分からなかったことがたくさん分かったと思った。 (M子)
中学校では
家庭科の調理実習では,生ごみは,卵のからとキャベツの切れはしが少し出ただけだった。この卵のからは,土にうめれば良いと思う。料理も上手にできた。
理科では,水を汚さない方法が分かった。わたしは,できれば家でも汚れを紙で拭き取ってから,水で洗うようにしたい。今日はいろいろなことを知った。楽しい授業だった。 (I子)
高等学校では
今までは,水質汚濁の問題について,しっかり考えたことがなかったが,今日学習したことでよく分かった。特にパックテストによるCODの測定では,食器の洗い方によって,2ppm〜30ppmと違いが出たのでおどろいた。水質汚濁は身近な問題だと思うので,これからもこの問題について考えていきたい。 (A男) (6) 試行授業を行った教師の感想
試行授業を行った中学校の担当教師の感想は,次の通りである。
今回の環境教育の一環として行った「エコ・クッキング」では,調理実習の場面に立ち会うことのない私にとって,普段見ることのできない生徒たちの新たな一面を発見することができ,有意義であった。T・Tによる指導は個々の生徒を生かすという意味で大いに効果を上げることができたように思う。
今回のような教科という従来の枠を取り外すことによって,授業時間や内容を柔軟に扱うことができるクロスカリキュラム的な学習内容の扱いは,総合的な判断力を求められる今,今後ますます必要になってくるのではないかと思われる。(理科担当)
理科と家庭科が連携して行った今回の授業は,私にとっても環境について考えるよい機会であった。残り野菜を利用したポタージュ,排水口や三角コーナーへの水切り袋の設置,洗剤の使用量を減らす工夫など,家庭科として取り組める環境教育の内容について再認識した。また,生徒たちは,パックテストによるCODの値から,洗い方と排水の汚れ度の