研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -041/156page
科学的な視点から環境問題をとらえることができるなど,それぞれ教科の特性を生かすことによって学習効果をあげることができた。この研究では,複数の教科が連携した教材の開発について,一っの方向性を示すことができた。
以上のことから,環境教育講座が本県の環境教育の推進に役立っていくものと考えられ,本センターの講座としてよりよい在り方に近づくことができたものと思われる。
2 今後の課題
(1) 講座の在り方に関する研究について
1) 外部講師による講義,野外研修,室内研修,協議等の内容は,講座の目的や研修者の要望に即したものと考えられ,当初の目的を達成できたが,それぞれの細部については,なお検討・改善の必要がある。
2) 小・中・高校の校種共通の研修形態は,研修者にとって意見交換などできて有意義であるとの意見が多いので,今後も継続したい。反面,研修内容の焦点がぼけてしまう傾向が見受けられたので,校種ごとに焦点を明確にした内容にするなどの工夫が必要である。
(2) 家庭科と理科で連携して開発した教材の有効性について
1) 理科的視点からの排水が生物(ヒメダカ)に与える影響を見る実験については,大きなインパクトを与え,実感させる上では効果的であった。反面,生命の尊重という環境教育の根幹に抵触する内容を含んでおり,この問題の解決が課題として残った。
2) 試行授業を通して環境への関心や生ごみ問題への意識を高揚させるには,十分満足のいく結果が得られた。しかし,情意面の高まりが必ずしも実践化にむすびつかない面もあったので,各校種の児童生徒の発達段階に配慮した教科間の連携の在り方などを含めて再度検討し,改善を図っていく必要がある。
参考文献 環境教育指導資料(小学校編) 文部省 環境教育指導資料(中学校・高等学校編) 文部省 日本型環境教育の提案 清里環境教育フォーラム実行委員会編 小学館 新しい学力観に立つ環境教育 滋賀環境教育研究会編 東洋館出版社 教職研修総合特集(環境教育実践読本) 教育開発研究所 中学校理科で進める環境教育 山極 隆編著 明治図書 環境白書 平成5年版 総論,各論 環境庁編 大蔵省印刷局 環境白書 平成6年版 総論,各論 環境庁編 大蔵省印刷局 身近な環境を調べる 梅埜國夫,下野洋,松原静郎編著 東洋館出版社 エネルギー'93「地球にやさしいエネルギー」通商産業省編 電力新報社 エコ・クッキングブック 石川県環境部 小学校家庭科で進める環境教育 桜井純子,橋本都編著 明治図書 中学校技術・家庭科で進める環境教育 河野公子編著 明治図書 環境教育授業記録集2 ネットワーク編集委員会編 学事出版
研究協カ校及ぴ協カ員 ○ 川俣町立福沢小学校 ・家庭科 教諭 林 文子 ・理科 教諭二階堂 宏 ○ 福島市立平野中学校 ・技術・家庭科 教諭 遠藤 範子 ・理科 教諭 菅野 俊幸 ○ 福島,県立安達高等学校 ・家庭科 教諭 大谷 幸子 ・理科 教諭 横田 克子
環境教育委員会メンバー 齋藤 洋一 佐治 和則 武仲 晴美 大室 幹男 阪路 裕 白瀬 豊 春日 芳則 土井昭一郎 片寄 信 鈴木紀美子 渡辺 裕 原 隆 山辺 彰一 吉田美智生