研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -044/156page
(3) 酸性雨の原因となる硫黄酸化物については,空気中に含まれる濃度が極めて小さいため,最も精密な気体検知管でも反応しないので省略した。
川の自然度の調査法 1 教材のねらい
身近な川の環境を調べるときには,いろいろな観点から幅広い情報を集める必要がある。川の複雑な流れの構造をべ一スに藻類,水生昆虫類,魚類,陸上の動植物といった生態系がその環境に適応して営まれている。それらを総合的に判断し,川の自然度を決定し,どのように環境保全や改善にかかわっていけばよいかを考える。
2 教材の概要
(1) 植物図鑑や双眼鏡で周辺の植物や鳥などを調査する。
(2) 濁度・色度計で水の汚れを調査する。
(3) チェックリスト表で調査結果を点数化し,自然度を決定する。
(4) 枠内(1m×1m)の帰化植物の帰化率を調査し,都市化の指標とする。
3 成果
(1) 身近な川を素材として,五感を使った研修内容は,川の生態系を理解する上で有効であった。
(2) 川の様子を総合的に判断することで,環境保全や改善のための意識化が図られた。
4 反省点
川の調査地周辺の植物群落などの分布見取リ図を作成し,記録する必要があった。
身の回リの自然放射線を調べよう 1 教材のねらい
身の回りには量はわずかであるが,どこにでも放射線や放射性物質があることを測定によって確かめる。
2 教材の概要
(1) 放射線の基礎知識について学習する。
(2) 測定器具(シンチレーション式放射線サーベメーター)の使い方にっいて実習する。
(3) 野外で自然放射線を測定する。
・道路の上(アスファルト,砂利,土など)
・川の近く(水面上,川原の上,草地など)
・建物の近く(石塀,土壁,庭石など)
(4) データを分析する。
3 成果
感覚ではとらえられない放射線が,実際に身の回りに存在し,しかも条件によって強弱があることが測定することによって実感として分かった。
4 反省点
測定器が1台しかなかったために測定を交代で行った。あと2〜3台あるともう少し詳しい調査ができた。データ分析のとき,実験用放射線源が出す放射線の強さを測って比較してみると,放射線の強さが具体的に理解でき,環境に与える影響を考えさせるという点でよかったのではないかと思う。
騒音の測定法 1 教材のねらい
快適な生活と騒音についての学習は,小・中・高等学校の家庭科と中学校の保健体育に位置付けられ