研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -043/156page
身の回りの自然環境要素の中で,どのようなものが不快を感じる原因となっているかを,地域の実態や資料を基に考察し,積極的に環境保全や改善をするためにどのようにしたらよいかを考察する。
2 教材の概要
(1) 乾湿球温度計を1.2mの高さで角棒に結び付ける。
(2) 測定地(緑地と道路)に角棒を立て,一定時間(5分)後に同時に測定する。
(3) 気温と湿度(湿度表から求める)から不快指数線図を使って不快指数を求める。
3 成果
気温と湿度の値を基に,不快指数線図を使って不快指数の求め方が理解できた。
緑地の方はあまり不快を感じず,国道の方が不快を感じた研修生が多いにもかかわらず,数値的にほとんど差が見られなかった。
これは,当日相当気温が高かったために,風や日照量などにも影響されたことが原因であると考えられる。
このように,快・不快は,不快指数だけでなく,周辺の環境にも大きく影響していることが分かった。
4 反省点
いくつかの場所での継続的な測定をするとともに,その周辺の生活環境(日照,地形,建物の状態,街路樹,風向,風速 等)を詳しく調べる必要があった。
大気汚染の調査法 1 教材のねらい
気体検知管を用いて大気中に含まれる二酸化炭素や有害ガスの濃度を測定する方法の研修を通して,大気の汚染度や地球温暖化などに与える影響について理解を深めることをねらいとする。
2 教材の概要
(1) 空気中に含まれる一酸化炭素,二酸化炭素,窒素酸化物の濃度を気体検知器と気体検知管を用いて測定する。
(2) (1)の測定を住宅地と交通量の激しい国道沿いで行なう。
(3) それぞれの気体濃度と測定場所との関係について考察する。
3 成果
(1) 講座終了後のアンケート調査結果によれば,大気汚染調査の技能が習得できた研修者が約60%いることから,目的の一部は達成できたものと思われる。
(2) 身近な環境である空気(大気)を取り上げ,その中の有毒ガスについて調べることは講座のねらいからいっても意義があった。
4 反省点
(1) 技能はある程度習得できたものの,これを授業にどのように取り入れ,どう指導するか,という部分が明確でなかった。具体的な教科や単元を挙げ,指導例を明示した方がよかった。
(2) 気体検知管の中には特種な薬品が含まれているものもあるため,使用済の検知管の処理についても指導しておく必要があった。