研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -045/156page
ている。そこで,騒音の測定を通して騒音の実態を把握し,生活環境に及ぼす影響を考え,並行して騒音対策の実情を観察する。
2 教材の概要
(1) 3〜4人一組になり道路沿線,商店街,住宅地などの場所を選定し,それぞれの場所で騒音を測定し比較する。
(2) 測定に関しては,騒音計を地上から1.2mの位置で音源方向にマイクロホンを向ける。(風の強い場合は風防をつける。)
(3) 5秒毎に25〜50回測定し,記録用紙に書き込む。(測定値は小数点を四捨五入し,整数値をとる)道路騒音の場合は変動幅が大きいので50回測定値の累積度数を求め,その中央値をもって騒音レベルとする。
(4) 通過台数や道路から住宅までのおよその距離を調べる。
(5) 測定結果や騒音対策の実情観察から,騒音が生活に及ぼす影響を考察する。
3 成果
パソコンを使用したことにより,データ処理が短時間ででき,考察に十分時間をかけることができた。
その結果,国道のように交通量の激しい地点では,騒音基準値をはるかに上回っていることが分かった。
また,国道沿線の民家やパチンコ店などでは,高いへいや二重窓などが見られ,騒音対策への実惰も視察できた。
講座研修後のアンケートによると,研修教材の技能習得状況について「騒音の測定法」は70%と高い数値を示していることから,技能を習得することができたと思われる。
4 反省点
騒音については取り組んでいる学校が少ないので小・中・高等学校の関連を考慮し,位置付けと系統性を明確にしていく必要性がある。
生活環境調査(マップ作り) 1 教科のねらい
町を探検しながら,町の自然や建物,公共機関,商店などを観察し,地域で働いたり生活している人々の様子や自然の様子など,自分たちの生活地域の環境を調べ,関心を持つ。
2 教材の概要
(1) 3人1班となり,動植物,自動販売機,店の種類等の調査内容を決め,教育センター付近の探検を行なう。
(2) 探検途中で調べたことやその他気付いたことをメモ用紙に記入し,マップに場所をチェックする。
(3) センターに戻ったら,メモを模造紙上のマップに糊付し,まとめる。
3 成果
小学校段階での環境教育は,身近な環境に触れ,親しむことが大切である。その意味において,マップ作りの手法は,1,2年生に限らず中・高学年においても有効である。研修者の多くは,講座を受講してマップ作りの技能を習得できたと感じており,小学校段階では,特に有効であることが分かった。