研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -047/156page
(2) 今回は1校の実践例を取り上げたが,小学校中学校・高等学校別,あるいは活動内容別などできるだけ沢山の例をあげた方がよかった。
(3) 取り上げられた例を参考にして,「自分達の学校で実践する場合の指導案を作成する」などの演習を取り入れれば,認識がさらに深まるものと思われる。
地球の未来を考える 1 教材のねらい
環境に関する情報を集め,未来を予測的にシミュレートする研修を通し,環境教育の必要性について認識を深める。
2 教材の概要
(1) 地球の未来を予測する
「穀物」「エネルギー」「地球温暖化」「人口」の4っの視点から得た8個のデータを基にして,10年後,30年後,100年後など未来の地球の状況を予測して文章で表現する演習を行う。
(2) 自分達の作文を発表することにより,現在の環境教育の必要性について協議する。
3 成果
この教材は社会科における環境教育への取り組みの一例として提示したものである。研修者からはこのような取り上げ方があるのかという驚きの声が聞かれた。このことからも環境教育にはいろいろな取り上げ方があることを示すことができたものと思われる。
またこの教材は,小学校・中学校・高等学校のそれぞれのレベルに応じて,思考力や想像力,判断力表現力をみることができる教材として活用できることができることが分かった。
4 反省点
(1) 単なる空想に終わらないためには,データ利用の位置付けを明確にする必要があった。
(2) 中学校や高等学校で実践する場合は,なぜそのように予測したのかなどの理由を明確にするよう指導する必要があった。
(3) この教材のねらいを作文だけにしてしまうとその目的があいまいになってしまう。作文を発表し協議することによって初めて環境教育に結び付くことに留意しなけれぱならない。
「説得力のある発表にするための工夫」も教材のねらいにすれば,環境教育だけでなく表現力の育成にまで発展させることができる。また,その際コンピュータの利用を図るように指導すれば,情報活用能力の育成にも役立てることができる。今後いろいろな視点から教材を見直す必要があろう。
化石燃料によるC0 2 の排出と自然エネルギーの利用 1 教材のねらい
家庭で調理や暖房に化石燃料を利用しているが,C0 2 の排出は地球温暖化の面で問題がある。しかし,他の代換熱源等が現実的にならない限りその使用は避けられない。そのための合理的な利用を考えなければならないが,まず,各種の家庭用加熱器で水を温め,そのとき出した加熱器の総熱量と,水が得た熱量から求める簡単な熱効率測定実験を行い環境保全の関心を高める。また,C0 2 の排出がない自然エネルギーの利用例として,身近な素材で作る簡易太陽熱コンロの製作について研修する。
2 教材の概要
(1) 家庭用加熱器の熱効率測定
1) 卓上ガスコンロ
ア 2分間の燃焼実験で前後の燃料カセット質量測定から得られた(燃料ガスの減少量)とブタンの比熱から,燃料ガスが出した熱量を求める。
イ コンロに上げたやかんの水1000cm 2 の温度上昇から水が得た熱量を求める。
ウ (水が得た熱量)÷(燃料ガスの出した熱量)X100から熱効率を求める。
2) 電熱器(100V-600W)
ア 電熱器のニクロム線を十分赤熱した後,水1000cm 2 の入ったやかんを5分間加熱し,水の温度上昇から水の得た熱量を求める。