研究紀要第99号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -053/156page

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4 事前調査とその結果

(1) 調査の目的

 協力校の対象生徒の学校不適応意識と学校不適応状態について, [資料1]の調査をし,試案実施前の対象生徒の実態と第1年度の調査結果と比較し,実施のための実態把握をする。また,生徒の変容をみる事前・事後調査の資料とする。

[資料 1] (学校不適応意識・状態調査)
(多い 時々 いいえ)
2-1 授業中は楽しいですか。
2-2 学校のことを考えると,気持ちが沈むことがありますか。
2-3 学校のことを考えると,夜なかなか眠れないことがありますか。
2-4 友達の目やうわさが気になることがありますか。
2-5 学校では一人のほうが気が楽だと思うことがありますか。
2-6 友達がいなくてさびしいと思うことがありますか。
2-7 先生から注意されることがありますか。
2-8 先生や友達から嫌われていると思うことがありますか。
2-9 クラスの人と一緒にいて楽しいと思うことがありますか。
2-10 学校がいやで休みたいと思うことがありますか。
3-1 学校がいやで学校を休むことがありますか。
3-2 登校時間になると,気分が悪かったりおなかが痛かったりしますか。
3-3 遅効や早退をしますか。
3-4 学級がいやで保健室に行くことがありますか。
3-5 何をするのもめんどうだと思い,ぼんやりしていることがありますか。
3-6 学校で,いらいらして物にあたることがありますか。
3-7 学校で,いらいらして友達にあたることがありますか。
3-8 いじめられたり,無視されたりすることで悩むことはありますか。
3-9 休み時間は一人ぼっちで過ごすことがありますか。

(2) 調査の項目内容

1) 学校不適応意識をとらえる調査項目
  (アンケート 2-1〜2-10)

2) 学校不適応状態をとらえる調査項目
  (アンケート 3-1〜3-9)

(3) 学校不適応意識と状態に関する実態

 対象生徒が,事前調査の学校不適応意識と状態で「多い」と回答した結果と第1年次の調査結果とを比較して対象生徒の実態を述べる。

[資料2]
[資料2]

1) 学校不適応意識の割合をみると,2-3〜6の項目で第1年次の結果より上回っている。学校のことや友達のことなどで心を痛めている生徒がかなりいる。

2) 前年度の比較でみると,学校不適応状態の割合では,対象生徒が小さくなっている。しかし,学校不適応意識の割合についてはかなり大きい。

 このことから,協力校の対象生徒は,表面的に学校不適応状態の割合は小さいが,生徒の内面では,学校不適応意識の割合が大きいという傾向があることがわかる。

(4) A・B・C群分け

 各試案の実施では,対象生徒を第1年次の研究と同じく学校不適応状態を示す割合が大きい生徒をA群,割合の小さい生徒をC群,その間をB群に群分けをする。

 群分けの方法は,[資料1]の3-1〜3-9の9項目について,「多い」「時々」「いいえ」の3段階で回答を求める。「多い」は2点,「時々」は1点,「いいえ」は0点として個人ごとに合計し,学校不適応状態の度合いを点数で表す。

 この結果,「多い」「時々」の度合いが高いほど学校不適応状態を示す割合が大きくなり,逆にその度合いが低いほど学校不適応状態を示す割合が小さいと考えて,合計点数が4点以上をA群,2〜3点をB群,O〜1点をC群とした。

 以下,各試案ではこの群分けによって述べていくことにする。 


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