研究紀要第99号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -061/156page

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試案一2(生徒同士の人間関係を深める指導援助)

 本試案は,自分の考えや気持ちを表現できず,望ましい人間関係が築けない生徒に対し,意図的に望ましい人間関係が築いていけるような場や機会をつくり,生徒同士の人間関係を深める体験をさせることによって,学校不適応状態を軽減させていく指導援助の試みである。

 このような試みの中で,自己表出ができず望ましい人間関係が築けない生徒は,友達や教師の目を気にせず,自分の思いを言動に表してみようとか自ら友達の中に入ってみようという気持ちをいだき,進んで望ましい人間関係の構築に努力していけるだろうと考えた。

 そこで,学校不適応意識や状態の改善に役立つような演習を取り上げて実施した。


1 試案の内容

(1) 演習プログラム

  演 習 1 演習 2 演習 3
演習名 「どちらを選ぶ」 「アサーション入門」 「ブラインド・ウォーク」
ねらい 生徒同士の人間関係をより深める体験をする。
 すべての生徒にみんなの前で自己表出させる場を与え,自分の感情,自己概念をより深く理解させる。  自己表出させたり,友達の価値観を知らせたりしながら,自他を認め合う気持ちを育てる。  信頼し,信頼されるという人間関係の根本を体験的に学ばせる。
概要  赤と青の旗を一人2本ずっ持たせ,二者選択する質問に対して,その旗を使って,自分の考えを表現させる。  質問に対し,四者択一した自分の回答をメモ用紙[資料2-3]にチェックさせたうえで,教室の指定した場所に移動させ,自分の考えを表現させる。さらにお互い選択した理由を話し合わせる。  二人一組にさせ,片方の人にはてぬぐいのようなもので目隠しをさせ,もう片方の人には目隠しした人をあちこち案内するよう指示する。その際,言葉ではなく,動作によって,相手に不安を与えないよう配慮させる。
実施時間 短学活などに
10分ずっ 4回
授業時間に
約1時間 1回
授業時間に
約1時間 1回
場所 教室  4隅に生徒が集まれるような空間のある場所 他の迷惑にならない広い所
(コース指定)
授 業 の 流れ 導入 演習のねらいについて話し,意欲づけをする。
展開 [資料2-1]の進め方参照 [資料2-2]の進め方参照 [資料2-5]の進め方参照
ま と め 1) 1〜3回目は,感想を振り返り用紙に書かせる。
2) 4回目は,感想を何人かに聞き,話し合わせる。
1) 友達の考えや思いに気づかせる場を設けるため,感想を必ず何人かに聞き,演習内容を話し合わせる。
2) 自分の今の気持ちを素直に表現させるため,振り返り用紙を使って,感想を書かせる。[資料2-4]


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