研究紀要第99号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -065/156page
2) 実践者の振り返りから
・ 教師の説明を聞きながら,プリントを興味深く見ていた。また,演習中は,楽しそうに友達同士でおしゃべりしながら行っていた。
・ 第1問目ではそれぞれの選んだ理由を話し合っていたが,男女が一緒に話し合う姿はなかった。
しかし,第3問あたりから,男女が一緒に話し合う姿が見られていった。・ 集団の動きに変化が見られ,他人の考えを確認したり,自分の発表もでき,満足している様子だった。
・ ごく一部において,本当の自分が出せないでいる生徒がいた。
・ 孤立傾向の生徒がグループの中になかなか入っていけないでいた。
・ 少数派のグループの中に,日ごろ孤立傾向の生徒が移動し,孤立していることがますますはっきりしてしまった。
(3) 演習3について
この演習においても,2学級とも演習に対して今まで以上に大変興味を持って取り組んでおり,楽しそうに友達同士の活動していることが,右の様子からもうかがえた。
1) 生徒の様子
(コースに従い,男女ともかなり興味深く参加し,時々階段の方から,にぎやかな声が聞こえたりもする。そのうち,だんだん教室に戻って来る。)
教師 どうだった?生徒 ちょっと怖かったけど,とってもおもしろかった。
生徒 目が見えない人はいつもああなんだね。
教師 それでは,パートナーを信頼できたか,何人かに聞いてみましょう。
生徒 はじめこわかったけど,「階段だよ。」とか「曲がるよ。」という合図をしてくれたので とても安心して信頼できた。
生徒 信頼できたし, S君が本当はやさしい人なんだなあと思った。
(略)
2) 実践者の振り返りから
・ 初めての経験とあってか,話をしないように注意は与えておいたものの,少し話し声が多かった。しかし,抵抗があまりない様子で生徒は演習に喜んで参加していた。
・ この演習は,いろんなことを吸収する可能性をもっているように思えた。
・ ペア相互の信頼関係が,さらに深まっていったことが,生徒の交換していた感想の中からうかがえた。
4 試案の結果
(1) 学級全体の結果
1) 演習1について
次は,この演習後に行った振り返り用紙の項目をまとめたものである。
1 「今日の演習で,友達の意外な一面を見つけることができましたか」
これを見ると,「たくさん」と回答した生徒より「少し」と回答した生徒が多いが,両方合わせた割合で見ていくと,日を追うごとに示す割合が増していった。そして,「ぜんぜん」と回答した生徒が4日目ではわずか10%に減っていった。
2 「学級の雰囲気は,変わりましたか」
この項目でも,上記1の質問項目の結果と同様のことがいえた。
[資料2-6]は,ある生徒の振り返り用紙である。この記録からもわかるように「学級の雰囲気は変わりましたか」という質問に対しては,「まあまあ」と答えているが,自由記述には「学級の雰囲気が変わった」と書いている。今までの様子に変化が見られたことがうかがえた。