研究紀要第99号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -066/156page
したがって,演習の様子や以上の結果から,この演習を行ったことは,後の演習のウォーミングアップとして,学級の雰囲気づくりのうえで効果があったと考えられる。
2) 演習2について
この結果を見ると,演習に対して楽しいという評価をしている生徒がほとんどだった。
この演習では,本心を全面的に表現できた「とても」と回答した生徒は35%,「まあまあ」と回答した生徒と合わせて見ると,90%をしめていた。
3 「今日の演習で,新たな気づきや考えが発見できましたか」
・ いつもあまり話をしていない人の考えもわかった。
・ 友達の新しいところがたくさん発見できた。
・ 嫌な人の意見でも聞くと,なるほどと思うことがあった。
・ みんなの考えがそれぞれ違うということがわかった。
・ 自分の考えや性格が新たにわかった気がする。
・ どの教科より楽しくやっていた。
生徒の回答を見ると,友達の意外な面が発見できたことで,得るところがあったという感想が多く見られた。さらに注目したいのは,嫌な人と思っていた友達の考えや日ごろ話をしない友達の考えもわかったという感想があったことである。
以上から,この演習において,生徒が積極的に演習に参加し,楽しく自分の価値について自己表出できたことがわかった。
また,「実践者の振り返りから」の中に,一部の生徒ではあるが,グループに入れないでいたとか孤立傾向がはっきりしてしまった様子が見られたという記録があったため,そうした生徒の振り返り用紙に目を通してみた。すると,
・ 意外な人がこういう考えを持っていたということがわかり,おもしろかった。
・ それぞれの人の考えは,一目ではわからない。おもしろい意見が聞けた。
・ この演習で,同じ答えの友達がいたのでうれしかった。
と,自分の悪く考えていた思い込みが,実際にはそうではなく,演習を行ったことでよいイメージが得られたという感想であった。
以上のことから,この演習では,今まであまり話をしなかった生徒の考えや趣味を学級のみんなに知らせることができた外,うまく人間関係がつくれないと思っていた生徒に,自分と同じ考えを持っている人がいることを知らせたり,さらにはそうした人と話をしたりするきっかけをつくっていくことができた。このようなことから,すべての生徒に自己表出の場や機会を与えたことは,人間関係を深めるうえで有効であったと思われる。
また,友達の好みや価値については,授業中など