研究紀要第99号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -067/156page
日ごろあまり話し合われる機会が少ないが,大変関心を持っていることも内容から読み取れる。
3) 演習3について
この演習においても,次の振り返り用紙の結果から明らかなように,好評の演習となったことや今回の体験による収穫が大きかった様子が読み取れる。
この結果を見ると,「とても」と回答した生徒が80%,「まあまあ」と回答した生徒と合わせると96%をしめ,大変好感をもって演習を行っていたことが読み取れる。
2 「相手に対して思いやりの気持ちをもって接することができましたか」
相手に対する思いやりについては, 「とても」「まあまあ」と肯定的に受け止めている生徒は90%をしめ,学級全体が相手に対して思いやりを持つことができたと回答していた。このことから,温かい人間関係づくりが感じられる学級の雰囲気を体験したことがうかがえる。
友達への信頼感に関しては,「とても」と回答した生徒が70%,「まあまあ」と回答した生徒と合せると92%をしめた。この演習では,友達間の人間関係がよい関係であったことが読み取れる。
また,この後の4で「今日の演習で,今までにない発見や体験があったら書いて下さい」という記述には,「友だちを信頼すれば,何でもやれるということがわかった気がする」とか「信頼ということが発見できた」「相手を信頼できてよかった」「友達って頼れるものだなと思った」といった友達間の信頼関係に焦点を当てた記述が結構多く見られた。
また,「どの教科よりも楽しかった」「もう一度やってみたい」と好感を持って演習に取り組んでいた。さらに,日ごろ味わえないいい体験ができたという記述も見られた。
こうした体験は,今後の学級経営に生かされていくものであり,対人関係においてもよりよい関係を気づくきっかけになるであろうと思われる。
(2) 事前事後の変容
本試案の事前事後調査として以下のような「今の気持ち調査」を行っている。
1 学級は.あなたにとって居心地がよいと思いますか。 とても思う 少し思う あまり思わない 2 友達と活動しているとき楽しいと思いますか。 とても思う 少し思う あまり思わない 3 友達は.あなたのことを信頼してくれていると思いますか。 とても 思う 少し思う あまり思わない 4 あなたは,友達が信頼できますか。 はい 少し いいえ 5 友達と気軽に話ができますか。 はい 少し いいえ 6 あなたは.自分から友達の方に入っていける方ですか。 はい 少し いいえ この中で,2の項目と4の項目にっいて特に,下のグラフのような変容が見られた。
(3) 個人の変容
2学級を合わせ,A群の生徒が18名いたが,その中の3名が顕著な変容を見せたので,ここに一部を紹介していく。
1) F子の変容