研究紀要第99号 「学校不適応児童生徒への援助の在り方に関する研究」 -074/156page
(2) 学級全体の変容
1) 学級の雰囲気調査による変容
学級の雰囲気調査による変容をA群・B群・C群の3群に分け,好ましい方向に変容した場合を「プラス」,逆の場合を「マイナス」としてまとめたものが次の表である。
群 人数 プラス 変化なし マイナス A群 22人 10人 5人 7人 B群 24人 9人 9人 6人 C群 26人 11人 12人 3人 全ての群で,学級の雰囲気を好ましい方向へ変容したように受け止めている生徒の方が多いことがわかる。
このように,本試案が,学校不適応状態にある生徒の学校不適応意識を軽減させるだけでなく,現在学校に適応している状態にあると考えられるC群の生徒の学級集団への適応意識をもより高めたことを示すものである。
これは,本試案が学級内での実践を目指した対人関係を促進するトレーニングであったために,個人の行動変容だけでなく, 学級全体の雰囲気も好ましい方向へ変容 したことを示している。したがって,すべての生徒を対象にした,適切な指導援助であったことが示された結果である。
2) 学校不適応意識にみる変容
学校不適応意識の調査から,事前・事後の比較において,変容が明確に現れた学校不適応意識の3項目について抜粋した。[資料3-7]
抜粋した3項目の結果からも,本試案により学校不適応意識の軽減が図られたことは明らかである。特に「学校を休みたいと思う」という「不登校」につながる不適応意識が大きく改善されている。
また「気持ちが沈む」や「夜眠れない」などの身体生理的な不適応感も軽減していることが目立つ。
[資料3-7]
[2-2 学校のことを考えると,気持ちが沈むことがありますか。]
3) 杜会生活技能の変容調査
「あいさつ」に関する社会生活技能の調査から,
[資料3-8]
[5 あいさつはできるが,特定の人としかできない。]