研究紀要第101号 「学力診断テスト開発に関する研究」 -004/170page

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 ・実施上の説明,用紙の送付,回収
10.予備テストの採点処理
11.設問内容等,評価基準の修正
 ・設問内容,設問数及び評価基準を正答率70%に照らして修正
12.本テスト実施校の決定
13.大・中・小規模別,教育事務所管内別,文化圏別
14.本テスト実施校の依頼
 ・実施校,教育委員会への依頼と確認
15.本テストの実施
 ・教科×1,300人(正答卒70%,信頼度95%,推定精度2.5%)
 ・実施上の説明,用紙の送付,回収
16.本テストの採点処理
17.手引き書の作成
 ・テスト実施の手引き,活用の丁引き作成

3 素材,設間の工夫

(1) 情意面がはたらく素材・設間の工夫
 新しい学力観では,児童牛徒の特性や学習への興床・関心・意欲を重視している。従って,学書指導は意欲の持続性と,個々の児童牛徒の論理を大切にした学習過程への教師の支援が求められている。そうすることで,自ら学、お意欲と,その児童生徒としての問題解決能力を身に付けていくことができると考えられている。
 こうした考えを,テスト問題の中に反映させていきたいと考えた。そこで,テスト素材の吟味と設問課程においては,関心・意欲・態度等の情意面の喚起と結びつく素材に目を向け,児童生徒の発達段階に即応した内容を積極的に採用した。また,テスト現題を解答するとき、児童生徒の思考カ,判断力が十分生かされるよう配慮した。設問の数は教科によって多少の差はあるが,小学校は40分,中学校では45分問の中で適切に診断ができるようにした。

(2) 可能性を重視した設問の工夫
 学習指導要領に示されている,当該学年の学習内容の到達度を診断する問題量を7割とし,3割は当該学年の学習内容を基にした発展的内容とした。これは,基礎・基本の重視と,可能性の開発という二つの視点から問題の作成を考えたからである。
 また本テストでは,コンピュータ処理を前提としながらも,多肢選択法の設問が,児童生徒の問題解決意欲を高め,思考力・判断力が生きるよう配慮するとともに,設問の2割程度を記述法にし,思考力,判断力,表現力などの学力の要素をより適切に測ることができるようにした。

4 情意面診断の開発

 本テスト開発では前述の通り,情意面を学力の一要素と考え,認知面,技能面と同様に関心・意欲・態度についてその評価の方法を考え,情意面の測定を試みることが重要な任務の一つであった。
 情意面の発動によって起こる児童生徒の内的な心の動きや外的行為は,個々の児童生徒の人格,特性,価値観.経験等と深く関わっている。そのことが情意面の診断を困難にしている理由でもある。
 こうした情意面の特質からすれば,教科における情意に関する目標は個々の児童生徒に即して設定されるべきものである。従って,情意面を総括的に評価し,等級づけををすることは望ましいことではない。しかし,学書指導要領に基づき,その目標に向かってどの程度望ましい育ち方をしているかを診断することは,一面においては必要なことであり,そうした問題開発を目指した。
 そこで,各教科における情意面の診断内容を「学習への取り組み」「教科内容への興味・関心」に求めた。その診断の方法は児童生徒自信の自己評価によって行っていくようにし,次の
 1.選択肢法
 2.問題解決法または記述法
によって設問を構成し,小・中学校それぞれに10分間でできる情意面診断の問題とした。


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