研究紀要第101号 「学力診断テスト開発に関する研究」 -006/170page
主題や要旨 ○文章を読んで人間,社会,自然などについて考え,まとまった感想や意見をもつことができる。 鑑賞や感想 ○文章を読んで主題を考えたり要旨をとらえたりして,それについて自分の考えをもつことができる。 表現の仕方 ○表現の仕方や文章の特徴に注意して読むことができる。 聞き取り ○話し手の立場や話の根拠を考えながら,話の内容を的確に聞き取ることができる。
要素表から設問項目を設定する際には,要素表の「診断内容」のうち,設問が可能な部分を取り上げ,学年間の系統を考慮しながら,設問項目を設定するようにした。
具体的に,上記にあげた中学校3年の要素表(「理解の能力」)の中の「内容把握と要約」で述べると,次のようになる。
「内容把握と要約」の判断内容は、「話や文章の展開に即して的確に内容をとらえ、目的や必要に応じて要約することができる。」であるが,このうち,本テストの診断の仕方からみて,設問か可能であるのは,「話や文章の展開に即して的確に内容をとらえる」という前半部分であり,この部分を設問項目として設定する。
次に,この設問項目を他学年との系統で見てみる。
・1年「話や文章の要点と事柄をとらえ
・2年「話や文章の展開に即して内容をとらえ
1年では,「要点と事柄」をおさえ,2年からは「展開に即して内容」をおさえることになり.3年では,それを「的確に」とらえるということが重要になる。
このように,取り上げた診断内容のその学年のもつ意味をとらえた上で,設問項目のポイントをおさえるようにした。
3 素材,設問の工夫
本テストの開発にあたって,素材や設問の工夫を行ってきたが,その中から,二つの例を,以下にあげる。
(1)中学校1年,「聞き取り」の問題
<「聞き取り」の問題での話の文章>
五月五日午後五時ごろ、駅前のバス停で、一年三組の小林君と村田君は、バッグを拾い、派出所に届けた。
その後、バッグは無事持ち主のAさんの手に返った。
バッグの中身は、Aさんが社会福祉のために募金しようと、一年がかりでためた約三千円の一円玉だった。
この話に感動した二人は,生徒会に一円玉募金を呼び掛けた。
それが,今回の募金設置につながったのである。
<「聞き取り」の問題>
[一] ある記事をこれからよみますので、次の(1)(4)(7)のことについて聞き取り、解答欄に記入しなさい。
(1)いつ(When)のことですか。
(2)どこで(Where)一(解答)駅前のバス停
(3)だれが(Who)一(解答)小林君と村出君
(4)何を(What)しましたか。
このことがあってから,小林君と村田君は
(5)どのように(How)一(解答)募金を呼びかけた
(6)なぜ(why)一(解答)社会福祉のために募