研究紀要第101号 「学力診断テスト開発に関する研究」 -019/170page

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3 素材,設問の工夫
○小学校第5学年「科学的な思考」に関する問題
 長さが1mのふりこが,図1の1.のところからふれはじめて,おもりがいちばん下にきたとき糸のまん中がくぎにひっかかって,おもりは1.と同じ高さの2.のところまで上がりました。
 つぎの問に答えましょう。

問題の図

(1) おもりのはやさがいちばんはやいのは,おもりがどこを通るときですか。
 図のア〜ウの中から正しいものを一つ選びその記号を書きましょう。
(2) ふリこが図の1.のところからイのところまで動く時間は,およそ何秒ですか。
 図のア〜工の中から正しいものを一つ選び、その記号を書きましょう。ただし,長さ1mのふりこが1往復する時間は約2秒です。

 ア 0.2秒
 イ 0.5秒
 ウ 1秒
 エ 1.5秒

 この問題は,糸の長さが途中で変わる振り子の運動に関するもので,児童にとっては観察体験のない現象であると思われる。この点で応用・発展的な間題である。予備調査でも,正答率が約30%と低かった。しかし,糸の長さが長いときの運動と糸の長さが短くなってからの運動というように,運動を分割して考えれば解決できる問題である。このように,複雑な現象をいくつかの簡単な現象に分けて考えるということはとても大切な,科学的なものの考え方である。
 振り子の規則性を調べる実験は,児童にとって初めて体験する定量的な実験ではないかと思う。データを整理しそこから規則性を発見するという,科学の方法を体験させることができる数少ない教材であるので,時間をとってていねいに指導していきたい。
 科学的な思考力は一度の学習や1回の実験で身に付くものではなく,観察・実験などの体験を通し,試行錯誤を繰り返しながら,学習を継続していくなかで育成されていくものである。

○中学校第1学年「自然事象への関心・意欲・態度」に関する問題
 図はマミズクマムシ(クマムシの一種)という土の中に住む生物であるが,あまり研究が進んでいないために,わからないことが多い。
 あなたはこの生物について,どんなことを調べてみたいと思いますか。調べてみたいことをできるだけたくさん書きなさい。

マミズクマムシ

 この問題は,生徒にとっては未知の動物を素材とし,この動物について調べてみたいと思うことを自


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