研究紀要第101号 「学力診断テスト開発に関する研究」 -021/170page

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英語科

1 教科でめざすテスト開発
 今回のテスト開発においては,作成したテストが生徒のコミュニケーション能力とコミュニケーションに対する関心・意欲・態度を正しく反映するとともに,生徒にとって今後の学習の望ましい方向づけができるようなものにするよう心がけた。作成の過程で配慮した基本的な事柄を取り上げる。
(1) 信頼性(reliability)
 生徒の学力を正確に表現し,今後の指導に役立つ資料を提供するテストにするために,各学年とも教科書の夕一ゲットセンテンスと語及び連語のリストを作成し,テスティングポイントに偏りが出るのを避け,できるだけ均質になるようにした。評価目標については,発表レベルまで求めるものは,夕一ゲットセンテンスと文部省必修語(学習指導要領の別表2の語)に止め,他は受容レベルとした。
(2) 妥当性(validity)
 「聞くこと」の能力を測るためには,「読むこと」や「書くこと」など他の領域の要素をできるだけ排除するように努めた。例えば,「読解」の問題では選択肢を用意し,書く技能が混じらないようにするなどし,測定しようとしている能力や技能そのものを測定するよう配慮した。また,ぺ一パーテストという性格上,表現の能力の中の「話すこと」の能力を測る問題の比重を減らし,結果として,「聞くこと」「読むこと一を40%,「話すこと一「書くこと」を30%とし,残りの30%を言語・文化を測る問題にした。
(3) 現実性(authenticity)
 日常の授業における言語活動の実態をできるだけ反映するように出題形式を工夫した。例えば,表現の能力を測る問題では,空所補充形式や語句の並べ換えよりも,「〜のような時どう言うか」という形で問うことで,生徒に今後実際に話すことを学習するように方向づけるという波及効果をねらった。
 このようなことに配慮した上で,全体を通して,基本的な問題を約70%,発展的な問題を約30%の割合で構成した。生徒の反応形式については,選択式の問題が約70%,残り30%を記述式の問題とした。
なお,第4部の「コミュニケーションに対する関心・意欲・態度」に関する問題の中の記述式の問題については,自由記述の形式を取り,言語形式の正確さよりも産出量に焦点を当てて,生徒の意欲等をとらえようとした。

2要素表に基づく設間項目の決定

(例)第2学年用第2部(理解)
 学習指導要領の「目標」を達成するべく定められている「内容」を分析し,次に挙げるような表を作成した。
観点 理解の能力
到達目標 ○初歩的な英語の文や文章を聞いて,話し手の意向などを理解できる。
○初歩的な英語の文や文章を読んで,書き手の意向などを理解できる。
診断要素 診断内容
聞くこと ○絵や写真などを見ながら,それに関する話の概要を聞き取ることができる。
○まとまりのある文章の概要を聞き取ることができる。
○対話文を聞いて,主題,登場人物,事柄の順序,場面などを理解できる。
読むこと ○音声に関する5項目(現代の標準的な発音,語のアクセント,文の基本的な音調,文における基本的な区切り,文における基本的な強勢)に注意して,正しく音読することができる。


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