研究紀要第101号 「学力診断テスト開発に関する研究」 -022/170page

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読むこと ○文の種類などに応じて,正しく音読できる。
○文の前後関係から,内容が正しく理解できる。
○登場人物,時,場所,事柄の経過など(5W1H)に注意して,文章の概要が把握できる。

 この要素表から設問の可能な部分を取り上げ,次のようなことに配慮しながら各設問を設定した。
(1) 問題の提示の仕方
 言語の持つ多面性に気づかせるために,音声や文字以外にも,絵や場面など様々な媒体を通して,生徒に情報を提示するようにした。
聞くことのテスにおいて音声を与える際は,できるだけ自然な□調になるように,ノーマルスピードで録音した。
(2) 解答のさせ方
 ここでも,言語の持つ多面性を反映するように,生徒の解答のさせ方として,英語や日本語を使わせる方法,絵や場面を選択させる方法,記号や番号を選択させる方法などを取り入れた。
(3) 解答させる内容
 生徒に答えさせる内容として,概要・要点・文,語句,文法事項,場面・絵・図などが考えられる。
上の(1)〜(3)の要素を組み合わせると,
 [問題提示]→[解答内容]→[解答方法]
 という問題の形式ができあがる.そこで,「聞くこと」の診断要素のひとつである「対話文を聞いて,主題,登場人物,事柄の順序,場面などを理解できる」能カを測る設問の例を挙げれば,
自然な口調で話されるマイクと理恵の会話(音声)
  ↓
会話の内容の要点
  ↓
(読みの技能が混ざらないように)日本語で与えられた選択肢から当てはまるものを選ぷ
となるわけである。

3 素材設間の工夫
(1) 第1学年用第3部(言語・文化)
 1.問題例
 次のようなとき英語でどのように言いますか。
与えられた文を参考にして( )内に適する英語を1語ずつ入れて、英文を完成しなさい。
(1)「スケートをすることができない」と言うとき。
 I ( ) skete well.
 [参考にする文]Ican skate well.
(2)「健はいい自転車をもっている」と言うとき
 Ken ( ) a nice bike.
  [参考にする文] I have a nice bike.
 ・以下(5)まで続く(全5間)

 2.工夫した点
 日常の授業においては,ある言語事項を導入する際に,知識・理解に重点を置いた学習活動とともに,運用力を高めるための言語活動が行われるはずである。場面や状況を設定し,生徒に実際に使用させることで定差を図るわけであるが,テストにおいても同じ配慮が必要である。
 例えば,1.の問いを次のようにしたらどうなるか考えてみよう。
 次の文を、( )内の指示に従って書き換えなさい。
(1) I can skete well.(否定文に)
(2) I have a nice bike.(主語をKenにかえて)

 知識をダイレクトに問う問題であり,現実の言語活動からはほど遠いものになってしまい,生徒にとって望ましい波及効果をもたらすとは言えない。生徒がその言語事項を実際使えるようにしようと努力するよう方向づける工夫が必要である。
 次の例は,第3学年用第2部(表現)において同様の工夫をした問題である。


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