研究紀要第102号 「福島県の小学生の学習に対する意識と行動」 -030/170page

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 また,中学生にも同様の傾向が見られるが,それ以上に,中学1年の時期が「好き」「嫌い」の大きな分岐点になっていることが分かる。学校が変わって,新たな気持ちで学習に臨もうとする生徒たちの気持ちがよく表れている。しかし,その意欲が長続きせず「嫌い」に転じてしまう生徒も多い。もし,この時期に学習に対する動機付けをきちんと行い,学ぷことの楽しさ・喜びを味わわせ,主体的に学ぶ姿勢を育成していけば,学力の向上にもつながるものと考えられる。
 特に,小学校での学習課題については,中学入学当初にチェックし,生徒が意欲を持っている時機に適切に指導することが必要なのではないだろうか。
 また,併せて,昨年度の調査でみられた中学2年時の「消極性」「中だるみ」傾向に対しても,目的意識を与えるなどして主体的な学習活動ができるように指導していくことが大切である。

グラフ9
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6 普段の授業の大切さ
 調査全体を振り返って,これからどうすれば良いのかという問題を考えたとき,もっとも重要なものとしてクローズアップされてきたのは「授業」である。平凡な結論と考えられようが,調査を通して日常の授業の大切さを再認識させられた。

グラフ10
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※ 「もっと詳しく学習したいと思った」は,国語だけ,「他の問題を解きたいと思った」は,算数だけの問いである。

 「楽しい授業をしてほしい」というのは,ただ面白いだけの授業という意味ではないであろう。面白く,分かつやすく,充実感のある授業を期待しているものと考えられる。「的確なアドバイスがほしい」「体験学習をしてほしい」という期待が高いのもその現れと考えてよいように思う。
 また,児童生徒たちは,毎日の授業の積み重ねの中で,充実感や学びの喜びを味わっている。そのような児童生徒の気持ちを保障し,未釆に向けての基礎を培うような授業を実践していくことが求められているといえる。


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