研究紀要第102号 「福島県の小学生の学習に対する意識と行動」 -042/170page
2. 考察
上・中位児で最も多いものは「作文の学習」であるが,下位児では「説明文の学習」が最も多いことが分かる。
「作文の学習」が最も多く,次いで「説明文の学習」「ことばのきまりの学習」「話すこと・聞くことの学習」の順であげられている。一方,少ないものとして「物語の学習」や「詩の学習」があげられている。
○ 成績別に見た特徴ある項目
次のグラフは,「国語における好きでない(苦手な)学習」を成績別に見たものである。
また,「漢字の学習」「ことばの意味を調べる学習」ことばのきまりの学習」という言語事項の学習を見ると,上・中・下位児の差が大きいことが分かる。
特に,言語事項の学習においては,上・中・下位児のそれぞれに応じた指導の在り方を検討していく必要がある。 注2
注2 「学力到達度調査研究報告書」
福島県教育センター,平成8年3月,p.5
「学力到達度調査研究報告書」の「小学校5年国語」の結果を見ると,本県の言語事項の通過率(正答率)は,「言語事項I」(語句,文,言葉遣い)が50.5%,「言語事項II」(文字,表記)が61.3%であり,全国を100とした場合,それぞれ91,98である。
(4) 国語の学習に対する自主性,授業に対する期待など
1.調査結果
2.考察
「分かるまでがんばろうとした」と「よく分かった(うまくできた)」について,「なんどもあった」「ときどきあった」を合わせた肯定的な回答で見ると,どちらも約80%である。児童は概ね,国語の学習においてわかろうと努力しており,学習した成就感を感じていることが分かる。
「もっとくわしく学習してみたいと思った」を肯定的な回答で見ると,60.2%,「もっとはやく進みたいと思った」では,69.2%である。学習の内容や学習のぺ一スの面で,これらの児童の要望にどのように対処していくかが課題となっている。
「学級の友達の考えを知って,自分の考えが変った」を肯定的な回答で見ると69.5%である。児童は,互いの考えの交流の中から,影響を受け合っていることが分かる。