3点・2点・1点と配点(6.のみ反転項目)して,その平均を算出した。不適応,順応,適応児童生徒の判定については,下記の数字で,一応グルーピングした。それに校種の違いや日ごろの担任の児童生徒観察を加味して,担任と協議して決定した。
[調査の判定基準]
|
不適応 |
順応 |
適応 |
1.〜5.の平均 |
1.8以下 |
2.0以上 |
6.と7.の平均 |
2.0以下 |
2.5以上 |
2 第1年次の実践に向けて
(1) 対象児童生徒の実態
上記調査による各協力学級の不適応,順応,適応の児童生徒の実態は,次のとおりであった。(資料2)
(資料2)各協力学級の児童生徒の実態(人数)
学級
グループ |
小学校 |
中学校1年 |
高校2年 |
3年 |
5年 |
G組 |
N組 |
H組 |
S組 |
不適応 |
2 |
2 |
4 |
3 |
5 |
6 |
順応
|
7
|
9
|
9
|
8
|
16
|
17
|
22.6
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27.3
|
23.7
|
21.6
|
39.0
|
38.6
|
適応 |
22 |
22 |
25 |
26 |
20 |
21 |
合計 |
31 |
33 |
38 |
37 |
41 |
44 |
この表から,順応の児童生徒の出現率をみると,小・中学校では,20%台であり,高等学校では,30%台後半である。このことは,小・中学校では少なくとも4〜5名に一人,高等学校では3名に一人が順応児童生徒に該当していることになる。このように高い比率を占める順応児童生徒に視点を当てて研究することは,すべての児童生徒の適応を図っていくとともに,不適応児童生徒の増加にブレーキをかける上でも,意義のあることと考えた。
各校種ごとに順応の中から抽出した児童生徒と,その子の学級の実態は,次のとおりであった。
1.小学校
〈3年生〉
順応のA子は,みんなと楽しくものごとに取り組むという姿がほとんど見られず,さめた目で友達を観察しているところがある。
A子の学級は,明るく活気にあふれており,集団活動を好んで行う児童が多い。しかし,順応の児童の大部分は,自分から活動することは少なく,自分の考えを出す時には積極的な児童の反応をみて,調子を合わせてしまうことが多い。
<5年生〉
順応のB男は,幼稚で自分のやるべきことを分かっていないため,言われてから行動することが多い。また,周囲の子ども達の言いなりになってしまうことが多く,振り回されてしまうところがある。
B男の学級は,数名の自己主張の強い児童の考えや行動に振り回されやすい学級である。中でも,順応の児童の多くは,自分の考えをはっきり持つことが少なく,ぽんやりすごしてしまっている。
2.中学校
順応のC男については,本音で話のできる者は小学校時代からの友達2,3人に限られており,他の級友についての関心も低い。
また,小グループでの活動においても,自分の意見を積極的に述べることはほとんどなく,周囲が決めたことを黙々と実行するタイプである。
C男の学級は,一見すると個々の生徒が自己主張をして,非常ににぎやかな学級のように感じられる。だが,その中には,周囲の生徒を過剰なまでに意識し,自分の考えを率直に表現していない生徒も少なくない。順応の生徒の大半がそうである。
また,適応の生徒は,自分のことやごく親しい友人に対しては非常に関心が高いものの,順応や不適応の生徒に対して働きかけることがなく,学級全体