研究紀要第103号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究」 -071/170page
また,自己理解や学級理解をさらに深めさせるため,学級全体の結果も集計して全員に配布した。
○特別教室を使用したことや,参観者が多かったことが影響してか,「とても」の割合がもう一歩だった。
○「とても」の割合が大変少なく,次年度のねらいとなる「学級で互いのよさや違いを認め合える人間関係づくり」に向けた指導援助の必要性がうかがえる結果となった。
◎担任には,演習終了時に,上記「指導援助の記録」を記入してもらい,事後の反省の資料として活用した。
◎不遭応生徒や演習実践時に必要性の生じた生徒には,面接相談や声かけ等の事後指導を行った。
(3)不適応児童生徒への手だて
本研究では,構成的グループ・エンカウンター以外に,昨年度までの研究成果を生かし,不適応の児童生徒を中心に,以下のような実践を行った。
1.声かけ(教師→児童生徒)
担任が1日に1回,一人ずつに言葉をかけるようにする。
○ 廊下ですれ違う時でも,生徒側から自然に言葉をかけるようになってきた。(中学校の例)
2.声かけ(児童生徒同士)
何かしてもらった時や当たり前に思っていたことでも,「ありがとう」と言ったり,お互いが何か一緒にやろうとする時,「よろしくね」などと声をかけ合うようにする。
○ 声をかけた方もかけられた方も,お互いがその日一日を快く過ごせるようになった。
(高等学校の例)
教室にポストと紙,鉛筆を用意し,いつでも友達のよいところを見たら,手紙でほめてあげるようにする。 教師は,それを帰つの会で取り上げ,みんなから賞賛をうける場を設けるようにする。
○ みんなにほめてもらえるので,また頑張ってみんなに喜んでもらえることを進んでやろうかなという気持ちになってきた。(小学校の例)