研究紀要第103号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究」 -072/170page
IV 児童生徒の変容
1 順応児童生徒の変容
前述した順応児童生徒A子,B男,C男,D男の4名を抽出して,振り返り用紙と学級生活のアンケートの事前,事後調査結果を比較して,その変容を見てみることにした。
(1)振り返り用紙から
1.A子(小学校3年生) A子は,5回の演習を行っていくうちに,振り返り用紙での自己評価が「あまり」「まあまあ」の段階から,徐々に高くなって5回目にはすべての項目で「とても」に変わっていった。
また、自由記述では,第1回の演習において「今まで知らなかった○○さんの家族について,はじめて知った」と友達への関心が広がってきたことがうかがえた。さらに,第2回の演習では,(資料11)のように「△△さんが私のいいところを三つも書いてくれた」や(資料12)のようなメッセージをもらい,「男子も私のいいところをいっぱい書いてくれた」と学級の友達から認められてうれしかった気持ちを書いていた。
友達のよさについては,第3回の演習で「ロロ君は動きが速く楽しかった」,第5回の演習で「▽▽さんは自分がやりたいことをみんなに自信を持って話していた」とか,「みんな自分のことを発表していた」と,友達から刺激を受けた気持ちを書いていた。
2.B男(小学校5年生)
B男は,5回の演習を行っていくうちに振り返り用紙での自己評価が,(資料13)のように「あまりと「まあまあ」が半々の状態から、徐々に「まあまあ」が増えて,最後にはすべての項目が「とても」に変わり,積極的な取り組みが見られるようになっ