研究紀要第103号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究」 -075/170page
小学校5年
○友達のよさを見つけようとするようになった。
○今まで排斥されてきた子どももつ徐々に受け入れられるようになってきた。
○相手の気持ちを考えて話したり,行動したりできるようになってきた。
○演習がお互いを知るきっかけになった。
○男女お互いに,思いやつを示す場面が見られるようになった。
中学校1年
○生徒達は,お互いのことを知りたがり,関心が高まった。
○自分だけの考えか,自分以外の友達も同じ考えなのかを知り,新しい見方ができるようになった。
○以前は,びくびくして,意見を出せないでいた生徒が自信を持ち,恵見を発表するようになった。
○男女間のふれあいに抵抗がなくなった。
高等学校2年
○生徒の自己開示,意見発表の場が多く,以前よりも気軽に発表できるような雰囲気に少し変わってきた。
○明るい雰囲気になった。
○反応を言葉で返してくれる生徒の数が増えたようだ。
校種によって,表現は異なるが,「明るくなった」「友達のことを考えるようになった」ことなどを挙けている。このことは児童生徒の自己理解,他者理解が担任からみても深まったことを示していると思われた。
また,本研究では,順応の児童生徒に注目して実践した結果,担任の意識にも変容が見られ,以下のような感想を述べている。これは,担任の児童生徒観が変わってきていることを,如実に表している。
〈小学校>
○ これまで,全体の子どもたちを見ていたつもりだったが,順応の児童生徒にはまだまだ目がいっていないことに気づいた。
○ 今まで素直な表現をさせる場が少なかったなあと反省した。演習を通して,本来の子どもの姿が見えるようになり,子どもの考えが以前よりわかるようになった。
○ この研究の協力をするに当たって,適応という視点で児童生徒をとらえたことにより,順応をはじめ適応の児童生徒の理解が深まったし,大変指導しやすくなった。
<中学校〉
※(資料17)参照
<高等学校〉
〇 3つの分類によって,適応と順応の差や,順応と不適応の差をかなり意識するようになった。また,これまで良しとされてきた順応生徒を,いかに適応方向に伸ばしていくかがこれからの課題であると思うようになった。