研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -081/170page

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自分の考えを話したり,仲問の話を聞いたりする。
このような児童生徒相互の触れ合いから集団への所属感を高める。
 イ フレンドタイム
 スポーツやゲームなどの遊戯的活動により集団生活への不適応感を軽減し,集団活動への参加意欲と積極性を高める。
 ウ HFTプランタイム
 野外活動を中心として,HFTクラブが児童生徒とともに計画した活動により児童生徒の個性や能力を伸び伸びと発揮させたり,社会への参加意欲を高めたりする。
 3.家庭との連携
 不登校児童生徒が不規則になりがちな日常生活の改善や子どもの状況に応じた対応の在り方を一緒に考える。また,家族としての機能を発揮するための働きかけや再登校へ向けた助言をカウンセリングや家庭訪問により行う。
 4.学校との連携
 児童生徒の生育歴や指導援助の在り方に関する情報交換を行い,共通理解に努める。また,再登校に当たっては,学校環境の調整に向けた連携を相互訪問等により行う。

 2「適応指導教室」3年間の研究実践
(1) 個別による指導援助
 1.態様別分類による通級児童生徒の実態
 通級した20名の児童生徒を態様別に分類すると次の通りである。
(区分は、文部省の登校拒否の態様による)
   区      分 年度別の人数 備    考
学校生活に起因する型 12 学習障害2名
不安など情緒混乱の型 神経性食欲不振症2名
・学習障害1名・自立神経失調症1名

 学校生活に起因する型と思われる者は,12名,不安など情緒混乱の型と思われる者は,8名である。
なお,備考の事項は,専門医による診断及び治療を受けた者である。
 2.不登校児童生徒にみられる特徴
 ア 不登校児童生徒の心理
 児童生徒が不登校に陥った時にみられる心理は様々であるが,通級している期問にみられた心理の主なものとして,次の3つを挙げることができる。
○ 分離不安=自我が年齢相応に発達せず,未成熟で,親(特に,母親)と離れる不安を強く持つ小学校低学年から中学年の児童にみられる。
○ 自己像脅威=児童生徒が自分の姿を能力以上に過大評価し,それを必要以上に持ち続けようとする傾向にとらわれ,自分の力量を試されると感じると,不安が増し,行動を嫌がったり,逃避したりする。
○ 抑うつ的不安=母親に抑うつ的な不安の兆候が出ていると,子どもに伝達されたりする場合に出る。このような子どもは,身近なところで起こるトラブルや失敗に対応できない場合に不安を増す。
以上のような不登校児童生徒の心理は,個別による指導援助を行う場面で配慮しなければならない。
 イ 適応指導教室に通級する児童生徒の性格特性
 YG性格検査を実施することができた12名から,当適応指導教室による方法で,性格特性の傾向を調べてみた。思考や行動に影響を及ぼすと考えられる情緒を縦軸にとり,集団活動を通した指導援助において成長を促す必要のある,杜会的適応,活動,内省,主導の4つをそれぞれ横軸にして,性格特性の傾向をみることにした。
 なお,各軸の中央は,YG性格検査の標準点「3」で,情緒では,縦軸の下方ほど不安定さを示す。
 (ア)社会的適応・杜会的不適応
 これは,社全的環境への適応力で,下図の横軸,中央より左側に寄る者ほど困難な状況に出会うと不満を持ち,逃避する傾向を示す。

YG性格検査


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