研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -082/170page
適応指導教室に通級する児童生徒の社会的適応・不適応に関しては,困難な状況に置かれてしまった場合には,不満を持ちやすく,困難から逃避しがちになり,問題解決に向けて努力する性格基盤の弱いことが指摘できる。
活動性においては,物事への取り組みに,きびきびした動作があり,行動も素早く,表情には,朗らかさの感じられるタイプと,やや行動が不活発で,もの静かなタイプの二群に分かれる。
(イ) 活動・非活動
これは,動作がきびきびしている等の身体的な活動性と朗らかな性質の傾向を示す。
(ウ) 内省的でない・内省的
これは,物事に取り組むに当たって,深く考え過ぎたり,考え込むような様子がみられたりする等によってあらわされる思索的な傾向を示す。
行動を起こすに当たって,やり方を深く考え込んだり,失敗をいやがる余り,結果をくよくよ思い悩む様子がみられ,伸び伸びと振る舞うことが少ない傾向がみられる。
(工) 主導・非主導
これは,積極的に仲間と交わり,対人交流を活発にしたり,仲間と会話を気軽に行ったりすること,グループでのリーダーシップがとれる等,社会的な接触の傾向を示す。
対人交流を積極的に好み,活発に行うタイプと,対人交流を好まず社会的内向の二群に分けられる。
以上の性格特性の調査から,適応指導教室に通級する児童生徒各個人や集団としての傾向が明らかになり,児童生徒各個人の内面の理解やよさを生かす指導援助に役立てたり,個人へのかかわりに対する留意点として活用したりする。
ウ カウンセリングによる指導援助
(ア) 指導援助の姿勢
個別による指導援助は,カウンセリングを中心に行うが,発達段階が未熟なため,気持ちや考えを言葉による表現が図りにくい児童生徒には,遊戯的療法での指導援助を取り入れる。
指導援助に当たって、児童生徒の心理的状態により,治療・予防・開発的な教育相談を行う。
(イ) カウンセリングによる指導援助
指導援助の初期から後期までの1期間(5ヵ月間)の指導援助の概要は次の通りである。
(2) 集団活動を通した指導援助
段階 初期 中期 後期 ねらい ・不安、悩みの軽減
・食欲の回復・個性、能力の発揮
・協調性、社会性の強化・対人関係づくり
・再登校への挑戦指導援助
の
プログラム〇 カウンセリング ――――――――――――→
〇 遊戯的療法 ―――――――――――――→
〇 行動療法――→
不登校の要因・背景の一つとして,対人関係の技術の未熟さによる学校生活での対人関係のつまずきがあげられる。
そこで,児童生徒の対人的不安や不適応感を軽減し,集団生活への適応力を高め,再登校を促すため、集団活動を通した指導援助を試みた。