研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -083/170page
1.集団活動における活動内容
集団活動への参加意欲を高め,協調性や社会性の強化を図る集団活動を通した指導援助のねらい,視点,活動内容を次のように設定した。
ねらい 視点 活動の内容 ア 集団化に向けて ・ラポールの形成
・心理的開放〇開始・終了の集い
〇七夕、クリスマス会
〇栽培活動 宿イ 集団内での安定 ・協調的行動
・参加意欲〇製作活動 泊
〇野外活動 体
〇見学、鑑賞会 験ウ 対人関係の醸成 ・自己理解
・他者理解〇SST 学
〇グループ・エンカウンター 習
〇グループ・カウンセリング
2.活動の実際
(イ) 七夕会・クリスマス会
ア 集団化に向けて
(ア)開始・終了の集い
「開始の集い」は,適応指導教室への通級初日に,不登校という共通の不安や悩みを持つ児童生徒が保護者と一緒に集い,再登校に向けた,自分の内面の戎長を図る決意を新たにするものである。また,適応指導教室で出会う仲問や指導援助者のプロフィールを知り,仲間づくリの第一歩とする。
「終了の集い」は,適応指導教室の中で得た一人一人の思い出を発表し,お互いの成長を確かめるものである。また,集団生活の中で得た友情の絆を深め,今後の仲間づくりの一助となるようにする。
伝統的,季節的な行事である七夕会やクリスマス会を催して,仲間と一緒に楽しい時間を過ごすとともに,児童生徒が会場づくりや行事の内容を話し合う過程で,伸び伸びと感情を表出したり,自己表現したりして,心理的な解放を図る。
(ウ) 栽培活動
適応指導教室のある敷地の片隅を利用し,くわ,スコップを使っての耕作や種蒔き,移植,水やり,除草等の作業を行い,野菜類の栽培活動を体験する。
収穫後は,栽培コンクールを実施したり,調理実習を行ったりして収穫の喜びを味わうようにする。
また,収穫物の一部を家庭に持ち帰り,親子の対話の話題となるようにする。
イ 集団内での安定
(ア) 制作活動
日常の活動として取り上げる題材は,教室内の掲示物づくり,絵画,粘土工作,模型飛行機づくり等とし,季節や行事に関連させて取り上げる題材は,版画,凧づくりつ年賀状づくり等とする。
制作活動では,お互いに教え合ったり,協力し合