研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -084/170page

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ったりする等,協調的活動を通して,集団活動への参加意欲を高めるようにする。また,制作活動に当たっては,児童生徒の個性や能力を引き出すこととし,完成した作品に対しては,努力を賞賛するように配慮し,仲問と比較するような評価をしない。

[共同で作り上げた適応指導教室の掲示]
[共同で作り上げた適応指導教室の掲示]

 (イ) 野外活動(ハイキング・芋煮会等)
 近くの公園や山野にハイキングや釣干)に出掛けたり,芋煮会等の活動を行ったりする。
 野外で思いきり体を動かすことで,登校できない心の負担からの緊張感を軽減するとともに,お互いに時問を共有することで,仲間意識を深めることができる。また,野外での活動の体験は,未知の人との出会いもあり,対人関係づくりが行える。
 (ウ)見学会・鑑賞会
 見学会では,図書館等の公共の施設を訪問して,その働きを調べたり、鑑賞会では,美術館や映画館等で作品の鑑賞を行ったりする。
 自分たちで催し物の内容,日程,交通手段及び必要経費等の調べ等をして,協調性や社会性を高める。
ウ 対人関係の醸成
(ア)SST(社会的スキル訓練法)
 不登校児童生徒は,対人関係の面で,対人交流技術に未熟さがみられ,学級生活等で級友や教師と接触を図る場面において,自分の内面を表現できずに,過度の緊張感を持つ等して,集団生活での不適応状態に陥りやすい。
 そのため,仲間と協調的行動がとれず,心のつながりを困難なものにしがちである。そこで,好ましい対人関係を築く,対人スキルの訓練を行い,適切な対人関係を身につけ,集団生活への適応を図るSSTを次のように実践する。
〈構成要素と到達目標〉
 SSTの社会的スキル訓練に必要な対人技能の構成要素と集団として到達する目標を次のようにする。
構成要素 集団としての到達目標
1 社会的刺激の受容
◇相手から送られる情報を読み取る。
・相手に注意を向ける。
・うなずく等の非言語的行動をとる。
2 処理
◇相手の働きかけを適切に判断して処理する。
・社会的場面を理解する。
・不安等社会的関係を妨害する要因を理解する。
・問題解決の見通しを立てる。
3 表現
◇相手に対して満足のいくかたちでメッセージを送る。
・相手と心理的距離をとる。
・話題を適切に変更する。
・会話を終結する。
4 バランスのとれた社会的相互作用
◇相手にタイミングよく受け答え,社会的相互作用を維持する。
・応答のタイミングを考える。
・相手をほめる。
・相手に質問をする。
〈基本的な流れ〉
 ロールプレイングを用いる基本的な流れは,次のようにして進めていくようにする。
基本的な流れ 留意点
[内容の説明と諸注意] ・演習の流れを説明し,動機つけを図る。
 ↓ 
[問題場面の設定] ・現実の場面を設定する。
 ↓ 
[予行演習のロールプレイング] ・演習の内容を具体的に示す。
 ↓ 
[正のフィードバック改善すべき点の明示] ・積極的にほめる。
 ↓ 
[モデルロールプレイング] ・良いモデルを通して具体的に行動させる。
・実際に演習をやって覚えるようにする。
[新たな行動のロールプレイング] ・場合によっては,補助し,手がかりを与える。
・実生活の中で行動できるように,課題を大切にする。
 ↓ 
[課題の設定]


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