研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -085/170page

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〈指導援助の実践例〉
○ SSTの構成要素
 構成要素は,中心的に「処理」を取り上げる。
○ 集団としての到達目標
 集団としての到達目標は,「社会的場面を理解する」ことと,「問題解決の見通しを立てる」の2つとし,野外炊飯の役割分担の場面で,役割分担を遭切に行う杜会的スキルを訓練し,実際の場面に応用できるようにする。
○ 参加者
 児童生徒側は,A男(小学校6年),B男(中学校2年),C男(中学校3年),D男(中学校3年)の4人とする。
 指導援助者側は,リーダー(T1),サブリーダー(T2)の2人とする。
○ 場所は,福島県海浜青年の家キャンプ場とする。
<指導援助の実際〉
○ 内容の説明
 C男を中心にして,野外炊飯の役割分担を行った場面で,話し合いの技術が未熟なために,役割分担の話し合い活動が停滞した。
・T1「今,野外炊飯の役割分担の話し合いがうまくいかず,困ってしまったね。」
・C男「僕の進め方が悪いんです。」
・T2「悪い人は,誰もいないんだよ。」
○ 問題場面の設定
・T1「A男君,役割分担がうまくいかなかった気持ち,どうだったかな?」
・A男「いやな気持ち,でも,どうしていいか分からなかった。」
・T1「みんなも同じ気持ちかな?」
(全員にうなずきがみられた。)
・T2「じゃあ,こんな時どのようにしたらいいか,みんなで考えてみよう。」
○ 予行演習のロールプレイング
・T1「考えが違った場面は,どんなふうだったのかなあ?C男君とA男君,もう一度その場面を振り返って,やってくれない。」
 (C男とA男は,考えが違った場面を思い出しながら,ロールプレイングで再現した。)
・C男「これ,お前やれよ。」
・A男「え一,僕できないよ。」
・C男「そんなことねえよ,やれよ,お前!」
・A男「やだよ!僕,やだよ!」
○ 正のフィードバック
○ 改善すべき点の明示
・T2「いやな気持ちにしてごめんね。」
・T1「役割分担を決めるような話し合いの場合,相手の気持ちになって発言することは大切だね。今の二人の会話の中で,相手の気持ちになって発言したい言葉はどれだろう。気づいたら挙げてくれないか。」
・D男「『お前』を,名前で呼ぶ。」
・T1「なるほど,それはいいね。」
・T2「そのほか,あるかな?」
・B男「『やだよ』は,相手を無視する感じがする。」
・T2「え一,そう感じたんだ。」
・A男「でも,『やれよ』って,一方的に言うんだもん。」
・T1「そうだね,相手の考えも聞かないといけないね。」
・T2「この辺で,相手の気持ちを考えた表現について,みんなで考えてみよう。」
○ モデルロールプレイング
(T1,T2の指導援助者がモデルとなりロールプレイングをしてみる。)
・T1「これ,やってくれないかなあ!」
・T2「嫌だなあ,僕,それできないよ。」
・T1「そうだね,大変だから。でもA君にやって欲しいんだ。僕も協力するからやろうよ。一
・T2「本当?そうだったらいいよ。」
・T1「もちろんだよ。」
○ 新たな行動のロールプレイング
(T1,T2の指導援助者を相手に,全員が一人ずつロールプレイングをする。)


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