研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -086/170page
○ 課題の設定
・T1「相手の気持ちや考えを,お互いに大切にしながら,野外炊飯の役割分担を話し合いをしながらやってみよう。」
(全員にうなずきがみられ,実際の場面の強化に役立てる。)
(イ) グループ・エンカウンター
集団内にある程度の信頼関係ができた段階に、遊戯的活動の一環として構成的グループ・エンカウン.夕一を取り入れる。仲間と楽しさを共有しながら,自己理解,他者理解を深め,対人関係に未熟な不登校児童生徒が,心の触れ合いの体験を通して,人間関係づくりを行う。
対象児童生徒は,5名程度の小人数とし,取り上げるエクササイズや時間等,準備を入念に行い,計画的,継続的に進めていく。
<指導援助計画の構想>
指導援助の中期頃には,児童生徒相互の親睦を,指導援助の後期頃には,相互開示・相互理解を主な目的として,エクササイズを選定する。
〈活動の流れ〉
指導援助の活動の流れを次のようにする。
導入 ・和やかな雰囲気をつくるために,ウォーミングアップを行う。 展開 ・エクササイズのねらいを説明し,実施する。 まとめ ・終了後,体験を通して感じたこと等を話し合い,振り返りをする。
<指導援助の実践例〉
○ 親睦(お互いに親しみ合い,仲良くする)
実践例1
導入 「じゃんけんおんぶ」
・じゃんけんし,負けた人が勝った人を背負う。展開 「私を支えて」
・二人組になり、前の人は目を閉じたまま後に倒れ,後ろの人は前に戻す。まとめ 振り返りをする。
実践例2
導入 「瞬間接着剤」
・二人組になり,リーダーの指示によリお互いの手と手,足と足をつける。展開 「フルーツバスケット」
・リーダーが言うことに該当する人が席を替わる。座れなかった人が次のリーダーになる。まとめ 振り返りをする。
○ 相互開示(お互いをより深く知るために,心を開く)
実践例
導入 「これ,何かな」
・紙にかかれた絵を見て,それが何に見えるか想像して,発表する。展開 「ジェスチャー遊び」
・動物やスポーツ等の動作を表現して,それを当てていく。まとめ 振り返りをする。
○ 相互理解(自分の個性に誇りを持ち,相手の個性も尊重する)
実践例
導入 「私はわたしよ」
・自分の個性と思われることを3つ書き,後でリーダーが読みあげ,誰のことかを当てる。展開 「Xさんからの手紙」
・受け取った用紙に,宛名の人の良いところを見つけて書き,回収した後で,宛名の人に渡す。まとめ 振り返りをする。
(ウ) グループ・カウンセリング
お互い同士の信頼関係が確立し,自由な発言が尊重される状態の中で,不登校という共通の悩みを持つ仲間が指導援助者と一体になって,言語的コミュニケーションを行う。そして,不安で苦しい気持ちを語ったり,悩みに対する対応を聴いたりする,集団内の相互作用により,様々な見方や考え方があることに気づくことで,自己理解・他者理解を深め,