研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -087/170page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

内面の成長を図り,集団生活への適応と再登校を促進することをねらいとする。
〈実施の方法〉
○ 構成するグループのメンバーは,児童生徒5名と指導援助者2名程度とする。
○ 活動の時間は,導入,展開,まとめを含み,60分程度とする。
○ 評価はグループ・カウンセリングの後半のまとめの時間の中で,感想や気持ちを確かめながら行い,一人一人の充実感を大切にする。
〈指導援助考の役割〉
 基本的な態度として,相手の立場で見たり,考えたり,感じたりする「共感」や相手を受け入れ,尊重する「受容」に心掛け,必要に応じて「助言・指示」を行う。
〈活動の流れ〉
 指導援助の活動の流れを次のようにする。
導入 ・指導援助者が活動の開始を告げ,テーマと進め方を説明する。
・仲間を冷やかしたり,責めたりする言動を取らないことを約束する。
・ウォーミングアップを行う。
展開 ・最初は,指導援助者の指名により全員がテーマに関する気持ちや考えを発言する。
・全員の発言が終わった後で,さらに気づいた気持ちや考えを発言する。
・発言を自由にしていく。
・指導援助者が終了を告げる。
まとめ ・振り返りをする。

〈指導援助の実践例〉
○ 実践に当たっての目標
○ 仲間意識を高め,孤立感を軽減する。
○ 自分と他の人との共通点に気づき,安心感を与える。
○ 参加者
 児童生徒側は,A男(小学校4年),B男(中学校1年),C男(中学校3年),D子(中学校3年)の4人とする。
 指導援助者側は,リーダー(T1),サブリーダー(T2)の2人とする。
〇 場所は,日常生活の場である適応指導教室とする。
〈指導援助の実際〉
○ 導入
 ・T1「これから,『教室での自分の体験』という話題で,その時の気持ちや考えを話し合つてみよう。」
 ・T2「大切な話し合いなので,仲間を冷やかしたり,責めたりすることはやめよう。約束しようね。」
 ・T1「話し合いの前に,みんなで,『ネームゲーム』をしよう。」
 ・T2「やり方は,自分の名前の前に○○の好きな○○です,というように白己紹介をし,次の人は,○○の好きな○○さんのとなりの△△の好きな△△です,というように続けていくゲームです。」
 ・T1「じゃあ,私から自己紹介していきます。りんごの好きなT1です。D子さん,お願いします。」
 ・D子「りんごの好きなT1さんのとなりのまんがの好きなD子です。」
(以下,このように続けていき,全員が「ネームゲーム」のウォーミングアップを終わる。)
○ 展開
 ・T1「和やかな雰囲気になってきたね。この辺で,みんなと『教室での自分の体験』という話題で話し合いを始めよう。」
(…沈黙,お互いに顔を見合わせる。)
 ・T2「私は,中学生のころ,一部の人から無視され,いやなことがあったなあ。」
・C男「僕,一日,話さないで黙ってた。」
(思わず,「お一」という驚きの声が出る。)


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。