研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -090/170page

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T2)によるロールプレイングでモデルを示して,人間関係を深めるスキル訓練を行う。(ロールプレイングの内容は,SSTの「処理」に前述)その後、スキル訓練を応用し、児童生徒による話し合いが進められ、作業の役割分担が円滑に決まり、調理が始まる。

[包丁を使い、不安な手つきで調理する生徒]
[包丁を使い、不安な手つきで調理する生徒]


[異年齢の交流2] 薪割り、飯ごうを使ってのご飯炊き等,家庭でやらない作業に戸惑う下級生に上級生が協力して手順よく進める。また,野菜の切り方に思案する上級生に代わって下級生が挑戦して笑いを誘う。互いに力を合わせながら共同で行う体験は,児童生徒にやればできるという自信を生み,様々な活動に意欲となって結びつく。

[下級生の代わって、飯ごうでご飯炊きの準備をする上級生]
[下級生の代わって、飯ごうでご飯炊きの準備をする上級生]


[異年齢の交流3] 苦労して仕上げた野外炊飯後のにぎやかな会食である。
 下級生が上級生の器にご飯やお惣菜をちょっと多めに盛りつけ,上級生は,その心遣いに感謝の言葉をかける。そして,上級生は,焦げめの少ないご飯を下級生に譲る。やり遂げた喜びを実感している様子と仲間意識の深まりを感じることができる風景である。

(3)家庭及び学校との連携
 1. 家庭との連携
 家庭との連携に当たっては,保護者の不安,悩み,疑問等を有りのまま受け止めながら,不登校への理解を求め,対応の在り方を一緒に考える取り組みが大切で,家庭との信頼関係を基盤にした連携を次のように行う。
 ア 連携の方法
 適応指導教室から保護者に対する援助の方法は,次のようにする。
 (ア) 来所相談=保護者が自ら相談に訪れるか,適応指導教室の呼び掛けによって行う相談。
 (イ) グループ・カウンセリング=保護者の自己成長を目的とし,保護者同士による集団内相互作用を機能させて行う適応指導教室で行う援助。
 (ウ) 電話相談=緊急を要する子どもへの対応に関する相談及び保護者が事情により,適応指導教室に来れない場合に,子どもの成長の様子について情報を交換しながら行う相談。
 イ 指導援助の各段階の連携
 指導援助の各段階ごとに,家庭と適応指導教室は次のような内容について連携を図って進める。
保護者が抱える問題 適応指導教室の援助
〇 初期の段階
 〇 養育の在り方に関する不安や悩み
 〇 家族関係の危機

○ 中期の段階
 ○ 子どもの変化に対する戸惑い
 ○ 家族の連携の在り方の模索

○ 後期の段階
 ○ 登校刺激のタイミングの模索
○ 保護者の不安や悩みを受容し,心理的な安定を図るための助言をする。
○ 子どもの不登校により,辛い立場にある人を支える。
○ 子どものよさや内面の成長を伝え,保護者の気づきを促す。
○ キーパーソンとなる人へ家族関係の改善に向けた働きかけを行う。
○ 子どもの回復状態に応じて,適切に登校刺激を与える助言をする。


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