研究紀要第104号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究 第1年次」 -093/170page
を含むカウンセリングは,自己の課題を把握し,その解決に向けて挑戦する等,内面の成長を図る効果があった。
(ウ) 後期の段階
対人関係の改善が図られ,集団生活への不適応感が軽減された児童生徒への行動療法は,再登校への抵抗感を和らげ,10名の児童生徒の再登校を促進する効果があった。
イ 児童生徒個別ごとのカウンセリングの成果
各児童生徒の不登校の要因や背景及び心理的状態を考慮しながら進めたカウンセリングによる成果としての変容は,下記のとおりである。
年度 期間 学年 性別 変容 平
成
5
年
度通
年中3 女 ・神経症的で,うつ的症状がみられたので,受容的,支持的なカウンセりングを行った結果、情緒の安定が図られた。 中1 男 ・医療機関でカウンセリングを受ける等不登校が長期化していた。助言,指示的なカウンセりングを行った緒果,自分の将来を見つめられるようになった。 中1 男 ・自己像脅威の心理的傾向がみられたので,共感的なカウンセリングを行い。気持ちを受け止めた結果,自分を肯定的に見つめられるようになった。 中1 女 ・学業不振による自信喪失の状態にあり,助言,指示的にカウンセりングを進めた結果,生き生きと活動に取り組めるようになった。 小5 女 ・うつ的傾向がみられた。遊戯的活動により,情緒の安定を図った結果,伸び伸ぴと活動できるようになった。 平
成
6
年
度第
1
期中1 男 ・登校を拒否している傾向にあり,不登校が長期化していた。助言,指示的なカウンセりングを行った緒果・自分を見つめることができるようになった。 中1 男 ・入学時の不適応がきっかけで不登校に陥った。受容的なカウンセリングを行った結果,学校生活への不安の軽減を図ることができた。 小6 男 ・自己像脅威の心理的傾向がみられたので、共感的なカウンセりングを行い、気持ちを受け止めた緒果、自分を肯定的に見つめられるようになった。 小4 女 ・親のかかわりの不適切さが不登校の要因の一つに感じられたので,親子一緒の遊戯的活動を取リ入れた緒果,親子共々情緒の安定が図られた。 小3 男 ・幼児性がみられたので,遊戯的活動を取り入れてかかわった結果,集団生活への意欲と活動性がでてきた。 第
2
期中3 男 ・級友によるいじめ体験があり,受容的なカウンセリングと助言,指示的なカウンセりングを行った結果,心理的な安定と集団生活への意欲を高めることができた。 中3 男 ・級友によるいじめの後遺症がみられたので,受容的なカウンセリングと,助言,指示的なカウンセりングを行った結果,学校生活への不安が軽減された。 中2 男 ・級友から容姿と部活動のプレーを失笑されたショックで不登校に陥った。受容的なカウンセりングを行った結果,自信の回復が図られた。 小6 男 ・神経症的なところがみられたので,受容的,支持的なカウンセリングを行った結果,情緒の安定が図られた。 小5 女 ・いじめを受けたことによるショックから不登校に陥り,心を閉ざした状態で当初通級した。遊戯的活動を取り入れた緒果,情緒の安定が図られた。 平
成
7
年
度・ 中3 男 ・無気力な生活状態にあり,助言,指示的なカウンセりングを行った緒果,自分の課題をみつめ,達成に向けて挑戦できるようになった。 中3 男 ・昼夜逆転の生活傾向にあったので,助言,指示的なカウンセりングを行い,生活のりズムの調整に努めた結果,一時,生活リズムが回復した。 中3 女 ・親子関係の間題で情緒不安な状態にあり,受容的,支持的なカウンセリングを行った緕果,心理的な安定が図られた。 中1 男 ・人学時の不適応がきっかけで不登校に陥った。受容的なカウンセリングを行った結果,学校生活への不安の軽減を図ることができた。 小4 男 ・遊戯的活動を取り入れて活動惟を引き出した結果,伸び伸びと活動できるようになった。
2 集団活動を通した指導援助の成果
(1) 集団化に向けて
○開始の集い ○終了の集い ○七夕
○クリスマス ○栽培活動
学校以外の場所に新しい集団を構成するが,お互いに不登校という共通の状況にあり,開始の集いを通して,早い時期に適応指導教室に対する不安感や緊張感を軽減していった。そして,集団化に向けた活動の中で,指導援助者に気持ちや考え方を受容され,支持されながら,仲間と楽しい時間を共有することで心理的解放が促進され,心の通い合う仲間づくリが進められた。
成果の一部として,終了の集いの場で生徒が発表