平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究1 -106/170page
ことばのとらえ方を示している。この実践では,単元導入時にこの観点を示した。
そこで,ここでは,ことばのとらえ方として,どの観点が,児童にとって参考になったかを見てみる。
次のグラフは,「今回の学習で,読み取りをするときに,どの観点が参考になったか」を調査したものである。(複数回答)
「今回の学習で,読み取りをするときに,どの観点が参考になったか」を調査したもの
児童たちは,「ことばの意味」や「そのことばの使い方」で,特に参考になったと考えたようである。
3.より多様にことばに着目することについて他の教材の読み取りのテストを事前と事後に行い,ことばに渚目する力について,変容をみた。なお,このテストは,事前テストの後,正答を示さずに,事後テストでも同じものを使って調査した。
適切に「性格のわかることば」としてあげた数は,どちらの人物においても多くなった。
4.自分の読み取る力に対する意識の変容
児童に,「自分は読み取る力があるか」を,事前と事後に調査した結果が次のグラフである。
児童は,今回の学習で,読み取る力が付いたと感じるようになったことがうかがえる。IV 研究の成果と課題
1 成果
○ 三つの要素を持った発言をさせたことは,児童・生徒に,自分の手がかりとなることばのとらえ方について振り返らせ,それを意識化させる上で効果があった。
○ 数多くのことばに着目するようになり,ことばを大切にして読み取っていく意識が高まってきた。
2 課題
○ さらに的確に,三つの要素をとらえることができるように,継続した実践をしていく。
○ 「手がかりとなることばのとらえ方」(C)の部分をさらに具体的につかませるために手だてを講じていく。
○ 話し合いの後に,「手がかりとなることばのとらえ方」(C)について気づかせる場を設定していく。
最後に,本研究を進めるにあたり,ご協力いただきました福島市立福島第二中学校の校長先生,坂口先生,郡山市立三代小学校の校長先生,吉田先生に,厚く感謝申し上げます。
〈参考文献〉
井上尚美『教育新書言語論理教育入門―国語科における思考一』,明治図書