平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究2 -110/170page
3.教科書等の図解は平面であり,また,生徒は時間的・空間的に考察する思考力が十分でないため,教師の詳しい説明でもなかなか理解できないことが多い。具体的なものがないと考察は難しい。
4.研究単元に関する安価で,個別学習や主体的な探究学習をさせる教材教具は少ない。
(三球儀は主に教師の説明に用いている。高価)
III 研究の実際と考察
1 開発した教材とその指導法
(1)「金星の運動モデル実験器」(図表一2参照)
1.指導のねらい
太陽・地球・令星の位置関係と見かけの金星の形・大きさを空問的に把握させ,その理由を考察させて天体事象の基礎・基本と空間概念を得させる。
2.モデル実験器のつくり
木台に太陽モデルと紙円筒の付いた回転盤(地球モデル)と太陽モデルを中心に自由に回転する木棒を取りつける。木俸の先端に半分を黒く塗った発泡スチロール球(金星モデル)を取りつけておく。
3.紙円筒から見える金星モデルの位置と形
木棒を回転させて太陽・地球・金星の位置関係を見るとともに,紙円筒から発泡スチロール球(金星モデル)を見ると,余星の公転位置による地球から見た令星の満ち欠けや形の大小を摸式的に見ることができる。(図表一3参照)
(2)金星モデルのつくり方(次ぺ一ジ図表一5参照)
(3)金星モデルを使った指導案例(図表一4参照)
図表一4金星モデルを使った指導案例
学習活動と内容 時間 指導上の留意点●評価 1 惑星について
○ 地球の回りの惑星
○ 惑星の定義
○ 衛星・小惑星5 ○ 生徒の既学習事項を想起させながら話し合う。
○ 今後学習する内容もあるのであまり深入りしない。2 金星の見え方
○ 教科書の観察資料
○ 金星の見え方の問題点
・満ち欠け・形の大小
・見える時間と方向5 ○ 金星の観察資料を見せてもあまり関心を示さないが教師の詳しい解説はしない。
○ 「なぜ」と間題点を引き出し,学習課題を把握させる。3 金星モデルで探究
○ 班ごとにモデルを見て事象を確認
○ その理由を各自が考察して記入20 ○ 金星モデルの使い方を演示に演示し,あとは自由に探究させる。
○ ワークシートにしたがって各自に考察させる。4 モデルを使った金星の見え方の発表・討議
○ 満ち欠け・形
○ 見える時間と方向
○ 金星の見える公転位置と地球の位置13 ○ 初めは各班で・後にクラスで討議する。
○ 発表にモデルをフルに活用し、具体的に説明させる。
○ 時間的・空閲的な考察がなされていたか。5 太陽・金星・地球の公転と位置関係 5 ● 空間概念を得られたか。 6 まとめとワークシートの整理 2 ○ モデルを活用して教師がまとめ,要点を記入させる。