平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究3 -120/170page

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銅原子と塩素分子に分かれるモデルを考える生徒も予想される。
 「ばらばらモデル」のタイプでは,銅原子は陰極に引かれそこで付渚し,塩素原子は陽極に引かれ塩素分子となって気体として発生すると考えるであろう。したがって,水溶液の中では,銅原子は十の電気を持ち,塩素原子は一の電気をもっているという考え(アレニウス説)を持っていると考えられる。ここで,陽イオンの電荷が2+または1+になるかについて考えたり,回路に電流が流れる(電子の流れ)理由や各電極におけるイオンのふるまいについてさらに詳しく考察することは,かなりむずかしいと考える。
 以上のような予想される生徒のモデル形成過程を図3に流れ図としてまとめた。

図3予想される生徒のモデル形成の流れ図
図3予想される生徒のモデル形成の流れ図

(6) モデルに対し予想される生徒の考え
 このように生徒の自由な発想にもとづいたモデルが検討される中で,各モデルに対して生徒から次のような考えが出されることが予想される。
1.銅原子と塩素原子は電気を持っていないのにどうして極に引かれるのか。
2.銅原子はなぜ十の電気を持ち,塩素原子は一の電気を持っているのか。
3.水にとけると塩化銅は,銅原子と塩素原子に分かれるのか。
4.銅原子や塩素原子は水にとけると電気を持つのか,電圧がかかると電気を持つようになるのか。
 この他にも生徒たちの素朴な考えや疑問はあるはずである。この段階では,教師は生徒に正答を求めるのでなく,なるべく多くの考えや意見が出され討論できる場面を設定することが大切である。
このような生徒のイオンのモデル形成に関わるイメージを大切にし,2つの対立するモデルをうまく授業に取り入れながら授業を展開していくことがイオンの学習における授業改善の鍵になると考える。

(7)指導計画(8時間)その1
(7)指導計画(8時間)その1


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