平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究3 -125/170page
以上の【モデル1〜3】は,内容毎に場面を区切り,リターンキーを押して確かめながら進めるようにした。最後に,【モデル4】として【モデル3】を連続的に表現し,電気分解についてのイメー一ジをいっそう膨らませ,総含的なまとめができるようにソフトウェアを構成した。
IV 研究のまとめと課題
1 研究のまとめ
(1) イオンのモデル形成を重視した授業改善の視点
【視点1】予想される生徒の反応をとらえる
生徒一人一人の発想を生かし,生徒の思考を連続させる学習過程を構成するためには,わかりやすい学習課題の提示とその学習課題に対する生徒の反応を授業者はあらかじめ予想し,生徒の反応をみながら柔軟に学習過程を組み替えていくことが必要である。
本研究においては,イオンのモデル形成に関わる生徒の反応について,以下の3つの観点からまとめることができた。
・生徒のイオンモデルのタイプの分類
・生徒のイオンモデルの形成の流れ
・イオンモデルに対する生徒の考え
【視点2】モデルを練り上げ深める場面を設定する
生徒一人一人のよさを引き出し,生かすのは授業者はもちろんのことまわりの生徒たちでもある。したがって,【個→グループ→全体】という学習形態で,モデルを練り上げ,深める場面を設定した。
ここでは,、授業者は生徒たちの発表・討論に対し適切な助言を行うことが大切であると同時に,生徒たちにはなるべく多くの考えを発表させ,モデル修正への意欲を持たせることが大切である。
【視点3】モデル修正の3つの段階を検討する
イオンのモデル形成の段階は「[A]ファラデー説・アレニウス説の検討」「[B]イオン概念の導入」「[C]電子の授受と流れ」の3つに分けることができる。本研究では,学習内容の優先性や難易度から,イオンモデルの修正過程として[A]→[B]→[C]の順序で進める学習過程を検討しまとめた。
【視点4】学習環境としてのコンピュータの活用を推進する
「知的構成主義」という学習理論を背景に学習が展開された場合ラ生徒たちにとってどのような学習環境が整備されているかが重要である。その1つとしてコンピュータが注目されているのは問違いない。
本研究のようにラコンピュータの活用を学習過程の中に明確に位置づけ,その理論的意味付けを授業者がもつことは大変重要である。
(2) 学習ソフトウェアの開発と活用法
1.学習ソフトウェアの開発
単元「化学変化とイオンーの電気分解の学習内容において,生徒の学習活動を支援するコンピュータの有効活用を図るため,本研究では使用目的に応じた2つの学習ソフトウェアの開発を行い,学習活動