平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究4 -128/170page
援助すれば,相互の理解が深まり,子どものよりよい人間関係を育てることができるか,生活科の学習を通して探っていきたいと考え,上記の主題を設定した。
〈研究の見通し〉
生活科の活動過程の中に,子ども一人一人の特性が生かせる自己表現活動の機会や場を設定し,生徒指導・教育相談の機能を生かした指導援助を行っていけば,子どもは自己存在感や成就感を味わうことができ,さらには子ども相互の理解が深まり,よりよい人問関係を育てることができるであろう。
II 研究の内容・方法
1 研究の内容
(1) よりよい人間関係を育てるための自己表現活動の基本構想を立案する。
(2) 協力学級の子どもの実態を把握し,自己表現活動を指導援助するうえでの課題を検討する。
(3) 基本構想及び自己表現活動の指導援助に関する課題を踏まえ,生活科の学習の中での自己表現活動の具体的な手だてを構想し,授業を実施する。
(4) 授業の分析や子どもの変容を検討して,よりよい人問関係を育てるための自己表現活動の指導援助の在り方をまとめる。
2 研究の方法
(1) 基本構想の立案,自己表現活動の具体的な手だての構想にあたっては,先行研究・文献等によって基本的な考え方をおさえる。
(2) 交友関係を把握するための調査,子どもの表現活動の実態を把握するための調査,基本構想に基づいた自己表現活動に対する意識の変容をみるための調査を,ソシオメトりツクテスト(排斥を除く)や自作の質問紙により実施する。
(3) 基本構想や自己表現活動の具体的な手だてを基にした生活科の授業を計画的,継続的に実施する。
(4) 諸調査や授業結果を分析・検討し,よりよい人間関係を育てるための自己表現活動の指導援助の在り方について考察する。
3 研究の協力学級
小学校第2学年(20名)
III 研究の実際と考察
1 研究に関する基本的な考え方
自己表現活動が高まってよりよい人間関係が育っていく過程を[資料―1]のように考えた。子どもは自分の思いや考えを表現し,それを友だちが受け止めて認めたり励ましたりしてくれることにより、自己存在感や成就感を味わうことができ,さらに自己表現活動が高まっていく。また,こうした友だちとの交流を通して子ども相互の理解が深まり,よりよい人問関係が育っていく。これは,よい人間関係と自己表現活動は相互に関連していると考えられるからである。このように,お互いに認め合い励まし合える人間関係の中で、子どもは自分の思いや考えを素直に表現できるようになるのである。
○ よりよい人間関係とは
教師と子ども、子ども相互の理解が深まった関係のこと・・認め合う、励ましあうことができる関係
○ 自己存在感・成就感とは