平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究4 -135/170page
[資料―14]<自分が伝えたいことを友だちや先生にわかってもらえたと思いますか>
[資料―15]<友だちのよいところやすごいところを見つけましたか>
[資料―16]<前より学級の友だちのことがわかるようになりましたか>
5ヵ月にわたる子どもの自己表現活動に対する意識の変容から考察すると,次のように整理できる。
[資料一12]から,ほとんどの子どもが仲良く勉強できるようになっていることが分かる。友だちとの交流の機会が増え,交友関係は広まっている。
[資料一13]の自分の思いや考えを友だちや先生に伝えることについては,8月には「よくできた」が50%であったが,12月には70%,「少しできる」も含めると95%とほとんどの子どもが,何らかの方法で自分の思いを伝えることができるようになっている。また,[資料一14]から,自分の思いが先生や友だちに伝わっていると感じている子どもが多い(95%)。これは,自分の思いを伝えたときに先生や友だちから満足できる受け止めや認め合い,励まし合いがあったからだと思われる。このことから子どもは,学級の中で自分の思いが伝わって認められたという自己存在感・成就感を味わうことができたのではないかと考える。
[資料一15]からは,徐々に友だちのよさが見つけられるようになってきていることが分かる。友だちとのかかわりをもつ場・深める場など,友だち同士の交流の場や機会を意図的に設定したり,教師が一人一人のよさを受け止め亨それを友だちに広めたりしたことの効果であると考える。
[資料一16]からは,少しずつ子ども相互の理解が深まっていることが分かる。しかし,「変わらない」という子どもも10%いる。固定化した人問関係の中で相互の理解をさらに深めていく指導援助の手だてを考えていく必要がある。
(2) 交友関係の変容
[資料一17]ソシオメトリックテストでみる変容
下位集団 周辺児 孤立児 6月 6 1名 1名 12月 4 0名 1名
[資料一17]のソシオメトリックテストの比較からも分かるように,少しずつではあるが学級集団の結びつきが良くなっていることが分かる。周辺児であったM男は,自己表現力はあるが友だちの思いを受け止めることが苦手であったため、学級のみんなから排斥される傾向にあった。意図的に友だちとのかかわりをもたせ,促したり,交流を深める場を設定したりしたことは,交友関係を広めたり深めたりするのに,大変効果があった。孤立児のE子は,自分の活動に没頭し,友だちとの交流をもとうとしない